国家戦略特区・関西圏での「保険外併用療養の特例」で府商工労働観光部・特区推進担当に要請  PDF

国家戦略特区・関西圏での「保険外併用療養の特例」で府商工労働観光部・特区推進担当に要請

 
 協会は、11月4日、京都府知事宛に「国家戦略特別区域での国際的医療イノベーション拠点形成における保険外併用療養費拡大について」の要望・質問書を提出、担当課(京都府・商工労働観光部特区推進担当)と意見交換した。渡邉賢治副理事長が出席した。
 2013年12月に成立した「国家戦略特別区域法」は、従来からの特区制度(構造改革特区・総合特区」)が地方からの申請を基本とするのに対し、国の「特区諮問会議」の審議を経た戦略方針の決定、それに沿った事業を実施する地域の指定という、トップダウン的な方式で、安倍成長戦略の目指す「世界で一番ビジネスのしやすい環境」づくりに向けた法規制の空洞化を狙う。
 府への要請書提出は、9月30日に国家戦略特区諮問会議が了承した「関西圏国家戦略特別区域計画」に、(1)保険外併用療養に関する特例(2)国家戦略特別区域高度医療提供事業—が特定事業に盛り込まれ、うち、前者が京都大学医学部附属病院で実施されることを受け、緊急に行った。
 要望・質問書では、(1)地方自治の観点から、区域計画に正当性があるのか(府民への説明の有無、計画の目的、府民の得るメリット、経済効果)(2)保険外併用療養費制度=混合診療拡大がもたらす倫理課題をどう考えるか(特例実施にあたり発生するリスク、補償も含めた患者保護の在り方、イノベーション目的の臨床試験・治験・臨床研究に対しなぜ患者が自己負担するか)(3)府は地方自治と生命を守る政策の担い手として、慎重な判断を—の三つの柱で府の姿勢を質した。
 要請に対する府のコメント概要は次のとおり。府は5月1日に特区推進課を立ち上げて以降、情報開示はホームページでも実施し、議会へも常任委員会等で報告。区域計画の目的は、先端的な医薬品・医療機器開発の推進。それにより、海外で承認されながら、国内未承認である医薬品等に対する保険外併用療養費制度の、評価療養における先進医療の審査期間が短縮される。これにより、治療を待ち望む患者さんに早く治療が提供でき、府民のメリットもある。経済効果は、区域計画に関し具体的に見込んでおらず、それよりも医療の安全性確保、患者さんの不安・負担を取り除きたい。その上で、医療イノベーションを進めたい。さらに、患者保護や不利益が生じた場合の補償問題について、今まで日本の医療制度になかった新たな仕組みが導入されるわけではない。あくまで先進医療に関する審査の迅速化が目的であるとの認識を示し、その点では、従来の先進医療における保護策・リスク補償と基本的に変わるところがなく、不幸にして事故等が起こった場合は従来どおり、基本的に患者さんと医療機関での解決が基本では、とした。
 コメントを受けた意見交換で、協会は「保険外併用療養費の拡大を通じ、医療産業化を進めるという問題は、即ち医療制度がどう変わるのかの問題である」との認識を府が持つよう求めた。さらに、現在の先進医療の実施にかかる審査等の仕組み自体が、そもそも様々な問題を孕んでいる。従来の制度に加えて「患者申出療養」のようなものも加わってくる可能性がある中で審査の期間短縮にばかり目を向けていて、患者を守ることができるのか。また、治験の場合、薬剤費等はメーカーが負担するが、市場に出る前に生じた医療被害への救済制度はない。現在の状態が、すでにおかしいということを認識してほしいと指摘し、府民保護の観点からこの問題を捉えてほしいと求めた。

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