国保財政、赤字が1236億円改善/厚労省08年度速報値
厚生労働省は2月2日、2008年度の国民健康保険と後期高齢者医療制度の財政状況の速報値を公表した。国保の財政状況は2384億円の赤字(市町村が一般会計から赤字補填している分を除いた実質的な収支)で、前年度に比べて赤字額が1236億円改善した。一方、保険料収納率は前年度に比べて2.14ポイント減の88.35%で、過去最低となった。
財政が改善された理由について厚労省は「後期高齢者支援金の負担が以前の老人保健拠出金に比べて軽減されたことや、前期高齢者交付金による財政調整の影響が大きいのではないか」(保険局国民健康保険課)としている。保険料収納率の低下の要因については「不景気の影響のほか、収納率の高い75歳以上の高齢者が抜けた制度上の理由が大きいとみられる」(国保課)と分析している。
●医療制度見直しの影響も
保険料(税)収入は前年度比18.8%(7105億円)の減。後期高齢者医療制度の創設に伴う被保険者の減少が主な要因とみられる。また、前期高齢者の財政調整のため、前期高齢者交付金2兆4365億円の交付があった。一方、退職者医療制度の廃止に伴い、療養給付費交付金(退職者医療に係る被用者保険側からの拠出金)が66.9%(1兆7774億円)の減となった。
支出は、自然増の影響で保険給付費が前年度比0.2%(128億円)と微増した。後期高齢者医療制度の創設に伴い、後期高齢者支援金として1兆4256億円の支出が新たに生じたが、老人保健拠出金は08年3月診療分と精算分のみで85.1%(1兆9074億円)の減となった。
保険者について単年度収支差で見ると、赤字保険者は全体の45.4%(1788保険者中812保険者)で前年度に比べて25.7ポイント(471保険者)減少した。保険者全体の単年度収支差引額は93億円の黒字に転じた。
●後期高齢者医療制度の精算後単年度収支は黒字
08年度の後期高齢者医療制度の財政収支は収入が9兆9441億円、支出は9兆6834億円で、収支の差引合計額は2607億円となった。収入から特例交付金と繰越金、支出から基金積立金などを除き、国庫支出金精算額を考慮した精算後の単年度収支差引額は1420億円で、大幅な黒字となった。国保課は「後期高齢者医療制度の保険料率は2年間で財政の均衡を保つ率となっている。09年度を通してみると限りなくゼロに近い数字になる」としている。
被保険者は08年度末で1346万人。収納率は全国平均で98.75%。このうち、年金から天引きとなる特別徴収を除いた普通徴収の収納率は96.95%だった。国保課は「注目してみると収納率が低い市町村もある。改善を促していきたい」としている。(2/3MEDIFAXより)