国保の基盤強化、国と地方の協議開始  PDF

国保の基盤強化、国と地方の協議開始

 国保制度の基盤強化に向けて、国と地方が事務レベルで協議するワーキンググループ(WG)が2月25日始まった。冒頭にあいさつした厚生労働省保険局国民健康保険課長の伊藤善典氏は「税と社会保障の一体改革(の推移)を踏まえながら、期限を設けず協議したい」と述べた。低所得者の問題など市町村国保の構造的な問題に絞って議論し、高齢者医療制度改革の在り方や国保を都道府県単位化した場合の仕組みについてはここでは議論しない見通し。会合は月1−2回開く予定にしている。

 今後、WGで国保の構造的問題について議論を整理した上で、厚労省政務三役と、知事会・市長会・町村会の代表者によるトップレベルの協議の場を設けることも検討している。

 WGには、厚労省保険局側から伊藤国保課長のほか、武田俊彦総務課長、吉岡てつを高齢者医療課長、村山令二調査課長が出席。地方側は全国知事会、全国市長会、全国町村会の推薦者が出席した。

 厚労省側は、市町村国保の構造的問題を資料で説明。▽国保加入者は退職者、失業者のほか、病気のため被用者保険に入れず国保に来た「長期療養者」ら、所得が低く医療費が高い傾向の人々が多く、財政的に大きな負担となっている▽所得水準が非常に高い市町村と所得水準の非常に低い市町村の双方で、法定外一般会計繰り入れが多くなる傾向がある―などの分析を示した。

 知事会側はもともと「高齢者新制度の関連法案提出と関係ないのなら協議してもよい」としており、今回のWGで地方側は「構造的問題について資料を基にして議論したい」と述べたという。

 厚労省側はこのほか、都道府県間や市町村間で所得水準や保険料の負担率に相当の格差があることが判明しているとして「国と都道府県が財政調整を強化していく必要性がある」と指摘。「保険料の収納率向上は景気の変動を受けるほか、所得水準の低い市町村では収納率も低い。自助努力ではなかなか解決が難しいところがある。何らかの支援が必要ではないか」と問題提起した。(2/28MEDIFAXより)

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