国会版社会保障国民会議が提言
給付・負担で国民に厳しい選択迫る
超党派の国会議員約100人でつくる「国会版社会保障国民会議」が7月1日、最終報告を公表した。社会保障制度改革国民会議の議論が消費税引き上げに伴う財源の適切な使い道に関するものになっていると批判し、より中長期的・全体的な視点から、我が国の社会保障や財政のあり方等について検討したとした。
報告は、改革の3原則として、(1)国民がガバナンスできる、わかりやすく簡素な制度に、(2)将来世代にも責任を果たせる持続可能な制度に、(3)国民(受益者であり負担者)サイドからの改革が不可欠―の3点をあげ、「給付・負担両面において国民に厳しい選択を迫らざるを得ない」と述べている。
医療・介護については、「短期的」と「中期的」に分けて改革案を提示。短期的改革では、70〜74歳の自己負担を現行法に定める本来水準(2割)に戻す。介護保険の自己負担について施設介護と高所得者の介護サービス利用については2割に引き上げる。
中期的改革では、(1)地域包括ケア体制の確立(定額の管理料、入り口機能担う総合診療医の確立、看護師等の積極的活用、地域医師会の機能発揮)、(2)全国民への適切なアクセスの保障(総合診療医の充実)、(3)地域に根ざした予防・先制医療の充実(診療報酬による適切な評価)、(4)生涯保健事業の体系化、(5)出来高制に基づく報酬体系の抜本見直し(過剰投資の是正、報酬体系の決定プロセスを地域に委ねる、基礎的医療と先進的医療のすみ分け)、(6)医療計画、介護計画等のずれの修正、(7)保険者機能の再編、見直し(高齢者医療も含め地域単位に再編、国・広域自治体・基礎自治体・企業・国民の責任のあり方など根本の議論)―を提案した。
このほか、▽社会保障省への再編、▽内閣府に社会保障制度の企画立案担当部局の新設、▽国会に超党派の協議会設置―を提言している。