国がオンライン請求のメリット強調/大阪訴訟口頭弁論
レセプトオンライン請求義務化の撤回を求める大阪訴訟の第2回口頭弁論が9月25日、大阪地裁で開かれた。大阪訴訟の原告団は1次提訴、2次提訴合わせて449人。第1回口頭弁論は7月10日に開かれており、2回目のこの日は、1回目の原告側の陳述に対して、被告側の国が第1次準備書面に基づいて陳述し、全面的に争う姿勢を明確に示した。国は、原告団の一部に勤務医が含まれていることを争点とした。
このほか国は、義務化を厚生労働省令で定めた妥当性や、診療報酬請求件数が少数の医療機関の除外規定を設けたことなどを指摘し、義務化政策の法的妥当性を強調。オンライン請求によって見込まれる効果として(1)診療報酬改定の迅速・正確な政策議論が可能となる(2)医療費などに関する正確なエビデンスに基づいた詳細な分析(地域の患者・疾患の実態把握、生活習慣病の発症・重症化の防止効果などの把握など)(3)被保険者の資格確認などの迅速な把握(4)医療機関・薬局の負担軽減(情報漏洩リスクの軽減、形式的エラーの場合の支払い遅滞の解消)(5)保険者の点検業務の効率化(6)被保険者の健康管理の活用―などを主張し、原告に対し、法的利益の侵害について個々に明示するよう求めた。
原告側はこの日、義務化撤回を求める森口英世・富田林医師会長の意見書を提出したほか、原告の1人である歯科開業医(大阪市)が意見陳述した。富田林医師会は9月17日に、2万を超える署名を大阪地裁に提出している。
原告団はこの日の弁論の後に開いた報告集会で、国が挙げたオンライン請求による効果について「具体性がなく根拠に欠ける」として争う方向を確認した。原告の弁護団は「疫学的エビデンスなどは医療関係者たる専門家の意見が必要」として、原告側で対応を協議していく方針も示した。
また、原告に勤務医が含まれている点については「保険医であることに変わりはないものの、(反訴材料の)検討はしたい」とした。
原告側は「省令」で義務化を決めたことを違憲として争っている。原告の弁護団は「このような大事な政策決定の前に、その効果、影響評価などをシミュレーションした形跡がなく、反論材料は最近になって明らかにされた」として、原告側の主張の妥当性を強調していく方針も示した。
集会の参加者からは、政権交代によって民主党の厚生労働大臣に代わったことへの期待感から、今後の情勢を注視する必要があるとの声もあった。
第3回口頭弁論は12月4日に開かれ、原告側が国の陳述に対する反対陳述を行う予定。(9/28MEDIFAXより)