国、実質的な主張避ける/レセプトオンライン横浜訴訟  PDF

国、実質的な主張避ける/レセプトオンライン横浜訴訟

 2011年4月に原則義務化されるレセプトのオンライン請求をめぐり、全国の医師・歯科医師ら計約1700人が国を相手取り、オンライン請求義務の不存在確認と慰謝料の支払いを求めた訴訟の第2回口頭弁論が11月4日、横浜地裁(北澤章功裁判長)であった。国側はこの日提出した準備書面で、厚生労働省が義務化に例外規定を設ける省令改正の手続きを行っていることから「今後、訴えの利益がなくなる原告も存在すると考えられる」とし、実質的な主張を回避。原告に対し、義務化により侵害される具体的な利益を明確に示すよう求めた。

オンライン化の利点を指摘/国

 国側は準備書面で、紙媒体によるレセプトの提出では、事務作業が膨大なことやデータ分析が難しいことを問題点として指摘。オンライン請求により▽診療報酬改定に関する迅速・正確な政策議論▽医療費などに関する正確なエビデンスに基づいた詳細な分析―などが可能になるとし、審査・支払い業務も効率化されるとした。

 原告は訴えで「義務化を定めた省令は営業の自由を侵害するなどしており違憲」と主張している。原告代理人は法廷で「原告が問題にしているのはオンラインの利便性がどうかということではなく、憲法上の問題を主張している。裁判所で政策論議をしても仕方がない」とし、省令の合憲性について明確な主張をするよう要求。国側は答弁書や準備書面で、実質的な主張に入る前に原告の医師らに訴えを起こす資格があるかを確認する必要があるとしており、国側の代理人は「省令が改正され、例外規定が固まらないと、被告の主張も固まらない」述べ、実質的な主張を先送りした。

 一方、原告が求める慰謝料の支払いについて、国側は「原告が省令でどのような利益を侵害されたのか訴えでは明確でない」と指摘。個々の原告について、義務化により侵害される具体的な利益が明確になるよう主張することを求めた。

「線引きではなく、あくまで義務化撤回」

 弁論の終了後に開かれた原告団の報告集会で、原告団幹事長の入澤彰仁・神奈川県保険医協会副理事長は、小規模・高齢の医療機関はオンライン請求の義務化を免除するとした厚労省の改正省令案について、「線引きをしたところで問題は解決しない。あくまで義務化の撤回を求める」と述べた。弁護団の小賀坂徹弁護士も「予断は許さないが、こちらの要求が実現できる余地は十分にあると思う」とし、「これだけ多くの医師が裁判に立ち上がったことの重みをどう考えるのかということを、政治の場にも届けてほしい」と呼び掛けた。(11/5MEDIFAXより)

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