命と暮らし守る運動に近畿一丸で TPP参加反対府民集会に700人  PDF

命と暮らし守る運動に近畿一丸で TPP参加反対府民集会に700人

 7月21日に参院選投票、23日には日本がTPP交渉に参加するとされる。その緊迫した情勢の中、TPP参加反対の声を大きく広げようと「TPP参加反対京都府民集会2013」が6月30日、700人を超える府民を集め、下京区の大谷ホールで開催された。集会には「オール滋賀」での運動を展開する日野町の藤澤直広町長が連帯あいさつ。保団連近畿ブロックなどからも連帯の出席があり、近畿レベルへの広がりを見せた。府内の首長からも賛同を得て、昨年11月に同会場で開催した集会から着実に運動が前進していることを示した。

 集会後は烏丸通御池までトラクターを先頭にパレードし、府民にアピールした。前回の集会を契機に保険医協会や農民組合連合会、京都総評などが結成したTPP参加反対京都ネットワークが主催した。

公約破り許さず分野超えて運動を

 TPP参加反対京都府民集会2013の開会にあたって、協会の垣田さち子理事長が主催者あいさつ。わずか半年前の衆院選で安倍自民党はTPP参加反対を唱えておきながら、3月には早々と参加表明したことを批判。目の前の患者さんの生活は決して良くなっておらず、不安感を募らせるばかりであり、こうした現状を変え、政治に反映させるためにしっかり学んで行動しようとあいさつした。

 各分野からの報告では、医療分野から渡邉賢治副理事長が発言。TPPで薬価が高くなったり、混合診療の全面解禁で国民皆保険制度が形骸化されるだけでなく、国民の健康や命を守ろうとする政策が障壁とされ行えなくなるようになる。分野を超え、同じ目的を持つ皆さんとともに、さらに運動を強めていこうと訴えた。

隠してでも得たい国益とは誰のためか

 TPPを巡る現局面について、全国食健連(国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会)事務局長の坂口正明氏が報告。TPPの特徴の一つに秘密主義があり、交渉内容は4年間公表されないが、大企業関係者はこれを知り、交渉官から相談を受ける関係にある。安倍首相の言う国益が誰のためのものかがよくわかる。

 ISD条項について、米国とFTAを締結した韓国では、投資家からの賠償請求を避けるために63本もの法制度変更を余儀なくされている。日本でも株式会社による学校や病院経営、解雇権濫用法理など多くの法制度が影響を受けるだろう。ドイツは福島の原発事故を受けて脱原発に転換したことで、スウェーデン企業からISDで訴えられており、日本でもこれと同じことが懸念される。

 また、4月12日に合意された日米事前協議では、自動車・保険・牛肉輸入規制緩和と、米国の3条件を丸呑みし、日本が出した条件の前進は一つもない。さらに、90年代から米国が毎年のように要求してきた非関税障壁について、TPP合意までに日米二国間で撤廃するための協議をすることでも合意した。20年間、国民の暮らしや食の安全を守るための制度だからと歴代政府に守らせてきた制度をも差し出そうとしている。

 しかも、政府発表と米国発表とは食い違い、隠している部分がある。隠さないと交渉に参加できないというのは、秘密主義の問題と同じで、公になると一般市民にとってはマイナスのことばかりで困る内容だからだ。

 安倍首相の参加表明があったにもかかわらず、運動は衰えていない。5月25日には東京で市民参集の2000人集会を開催するなど、全国で広がっている。そのことに我々は大きな確信を持って取り組みを広げていこうと訴えた。

広がる連帯府南部の3首長が賛同

 滋賀県からは、JA、医師会、町村長会などで大きく運動を広げている「TPPから県民のいのちと暮らし/医療と食を守る県民会議」の呼びかけ人の一人、日野町長の藤澤直広氏が出席。住民の暮らしや命を守る運動を最後まで貫こうとあいさつをした。近畿からは保団連(川西敏雄兵庫協会副理事長)と全労連、大阪食の府民会議から連帯出席、農民連近畿ブロックや和歌山のネットワーク、奈良の県民集会実行委員会などから賛同メッセージが届いた。府内での賛同については、3自治体首長(和束町・笠置町・南山城村)、9医師会(上東・中東・下西・右京・伏見・亀岡・綾部・福知山・舞鶴)、他11団体、4大学職員のほか、府内の政党では、共産・新社会・緑の党が賛同、民主・維新・幸福が賛同しない、社民は回答があったものの記載なし、自民・公明は回答がなかった。このうち、賛同した政党から日本共産党の井上哲士参院議員、新社会党の京都府本部委員長・池内光宏氏が発言した。

 最後に尾崎望・京都民医連会長が、「STOP TPPの声を政府に、そして国内外に届けるため、ともに行動しよう」とアピールを読み上げて集会を終了。

 集会後には烏丸通御池までの約2?を参加者全員でパレード。トラクター3台を先頭に、「STOP TPP」のプレートを高く掲げてシュプレヒコールを唱和し、府民にアピールした。

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