同一日の複数科受診、各側の認識にズレ/中医協総会
厚生労働省は11月30日の中医協総会で、同じ日に同じ医療機関で複数の診療科を再診で受診した場合、2つ目の診療科に対して一定の評価を行うことの是非について検討を求めた。同一日・同一医療機関の複数科受診をめぐっては、1つ目の診療科で初診料(270点)を算定した場合、2つ目の診療科では初診料は半額(135点)の算定となる。再診の場合は、1つ目の診療科で再診料を算定した場合、2つ目の診療科で再診料は算定できない。病院団体の調査によると、同一日・同一医療機関の複数診療科受診では、2つの診療科を受診するケースが最も多い。
この日の中医協総会では、複数科受診の捉え方について診療側委員と支払い側委員で大きな食い違いを見せた。
●診療科ごとの支払い「いかがなものか」/支払い側
支払い側の白川修二委員(健保連専務理事)は「複数科受診というが、いろいろなパターンがある。病院の都合で診療科が分かれているもので(それを評価するというのは)患者感覚と病院経営者の感覚は異なっている」と指摘。「複数科受診の定義を明確にして、評価するケースを限定する形で提案してもらいたい」と述べた。花井十伍委員(連合「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)も「患者の立場からすると、総合病院の多様で専門的な機能を評価するということであれば分かりやすい。しかし、過去の経緯があるのだろうが、初・再診で診療科ごとに支払うというのはいかがなものか」と疑問を投げ掛けた。
●2診療科目も専門性・技術の評価を/診療側
これに対して診療側の西澤寛俊委員(全日本病院協会長)は「複数科受診の評価は、医師の専門性、技術料を評価してもらいたいということだ」と説明。「初・再診料など基本診療料は何を評価しているのかが明確になっていない」とも述べ、基本診療料に含まれている中身を明確にする必要性をあらためて指摘した。
安達秀樹委員(京都府医師会副会長)も「2診療科目以降の評価がされなかった時代は、診療所と病院の診療内容に大きな差がなかったからではないか。しかし、今や病院の各診療科の技術は専門性が高く高度になっている。何らかの評価をすべきではないか」と述べた。
複数科受診のイメージについて厚労省は、患者が同一日に内科で糖尿病、眼科で白内障の受診を希望するケースや、医師が患者を診療し、他科の診療が必要だと判断したケースが考えられると説明した。骨折の患者が整形外科を受診し、CTなどの撮影が必要になった場合は、放射線科を2科目とはせず、この場合は読影料を算定することになると説明した。議論を受け厚労省は、これまでの複数科受診の経緯を整理した上で、一定程度、限定した形での提案を行うとした。(12/1MEDIFAXより)