右京医師会と懇談  PDF

右京医師会と懇談

2月9日 右京医師会館

医療産業化の大きな流れに懸念続出

 協会は2月9日、右京医師会との懇談会を開催した。地区から10人、協会から7人が出席し、右京医師会理事の松木正人氏の司会で開会。冒頭、同会会長の斉藤憲治氏は「混合診療解禁の動きや10%への消費税増税問題など、全て少子高齢化に根本的な問題があることが実に悩ましいところ。医療体制は大きく変わろうとしているが、その大きな問題点について、会員からも忌憚のない意見をいただきたい」とあいさつし、協会事業への謝意も述べた。続いて協会より、垣田理事長のあいさつ、各部会からの情報提供の後、「医療・介護提供体制と一体改革について」「総合診療専門医をどう見るか」の二つのテーマで問題提起し、活発な意見交換を行った。
 意見交換では地区より、非営利ホールディングカンパニー型法人制度に関する質問が出され、協会は「医師は医療だけ、経営は新型法人サイドがやるとなれば楽ではあるが、医師自身が経営に携わらないと、それが正しく地域に貢献するのかを医療職の目から判断できなくなる。ともすれば経営が営利に走る心配もある。新型法人への加入が強制されることにはならないが、傘下に入らなければやっていけなくなるように追い込まれないか危惧する」と回答した。また、地域医療構想については「医療的な知識もない都道府県に、医療費抑制が担わされる。レセプトデータを集約して構想を立てるとなれば、ますます流れとしては怖い」との意見に対し、協会も同意した上で、病床機能報告の集約をみずほ総研が担っていることに触れ、企業参入が進み、医療・介護に関する大きなデータが一企業に集約されつつあることにも懸念を示した。
 さらに、地域包括ケアシステムに関しては、医師の参加体制への質問や、「行政がどれだけ関わってくれるかで推進力が全然違ってくる。一緒にやっていかないと、なかなか進んで行かない」との意見が出された。協会は「京都市では当局に対し、地域包括ケアシステムの制度設計等に関する医療者の意見を表明し、相談する手法が難しい。地区医師会単位で意見を集約する必要がある」と述べ、協会が企画する京都市との懇談会等への参加を呼びかけた。
 新専門医制度に関しては、地区より「新たな専門医は全医師を対象とするのか。反対していく学会も多いと思うが、受け入れられるのか」「意見を言う場がなく、医師会や協会から強く申し入れてもらいたい」との質問や要望が出された。これについては、「現医師は10年程度(2030年)で新制度に移行する措置が取られることになる。19の基本領域に入っていない科の立ち位置も言及すべき。病床機能報告制度がうまくいくようになれば、各診療科の報告制度ができ、診療科で開業先に縛りがかかるようになり、自由開業医制が壊される危険性があり注意が必要」と回答した。

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