右京医師会と懇談
3月11日 右京医師会館仮事務所
TPP問題点引き続き周知を
協会は3月11日、右京医師会との懇談会を開催した。出席は地区から9人、協会から5人。齊藤憲治副会長の司会で開会した。冒頭、國枝恒治会長から、「TPPへの参加の様相を呈しているが、これからの交渉参加で、どこまで日本の要求が通るのかは不明である。今日はTPPと今後の開業医のあり方について、わかりやすく教えていただきたい」とのあいさつがあった。その後、関理事長のあいさつ、協会からの情報提供の後、意見交換を行った。
TPPの交渉参加による医療界への影響について、地区から「国民皆保険制度を崩壊させるには、日本の法律を変えさせなくてはならないが、アメリカにそこまでの強制力があるのか」との質問があり、協会から、「現在のところ、アメリカは医療保険制度には手を付けないとしている。しかし、韓米FTAに薬価や医療材料価格が高騰する仕組み(独立的再審機構)があるように、保険制度本体ではなく、外堀から着々と埋められていき、気が付けば保険制度が崩壊しているといったことになりかねない」と説明した。
さらに地区から、「TPPの影響で、日本の薬価は上がるのか」との問いに対して、「独立的再審機構の設立などにより、国が管理できなくなれば、薬価は3割程度高騰するといわれている。医療費全体のパイが大きくならない限り、診療技術料部分が圧迫され、必要な医療を提供しようとすれば、結果として混合診療を認めざるをえない事態に陥る」とした。地区からはTPPの反対を主張するにあたり、「医師」が主体ではなく、「国民」が主体の運動を展開すべきとの意見があった。「『医師の技術料が減少方向に向かうから』なら、不利益を被るのは医師であり、国民には受け入れられやすい。それよりも混合診療の解禁により、「国民」が不利益を被ることを主張していくべきである」と言及した。その根拠となる一例として、去年話題となった「外来受診時定額負担金」を挙げ、診療所に反対署名を置いているだけで、患者から多数の署名が集まったことを紹介、「反対への意欲は目を見張るものがあった。患者は、自分自身の不利益を感じた時にはじめて行動に移すのであり、それは結果として大きなうねりとなると感じた」と発言した。
協会からは、「会員対象の反対派と賛成派の論客によるバトルトークのほか、市民を対象とした集会を開催し、デモ行進を行ってきた。今後もTPPの問題点をしっかり周知していきたい」と結んだ。
14人が出席して開かれた右京医師会との懇談会