右京医師会と懇談会  PDF

右京医師会と懇談会

5月25日 右京医師会館

混沌とする「新専門医制度」巡り意見交換

 2015年度地区医師会との懇談会は、5月25日の右京医師会との懇談をもって予定を終了しました。15年7月から開始し、19地区医師会と懇談。その中でいただいた協会の活動に対する多くのご意見は、今後の活動に生かしていきたいと存じます。

 

 協会は、右京医師会との懇談会を5月25日に右京医師会館で開催した。出席は、地区5人、協会5人。懇談は、右京医師会の福州修会長の司会で進行した。

 冒頭、福州会長は、点数改定や新専門医制度についての協会の見解を聞きたいとあいさつ。

 これを受けて、垣田理事長が医療・介護一体改革以降、医療の在り方が変えられようとしている。その中で、医師養成問題が大きな位置を占めるようになってきた。10月の保団連医療研究フォーラムでもこの問題について話し合いたいので、ぜひ参加していただきたいとあいさつした。

 続いて、協会からの情報提供の後、自由討議に入った。地区から「新専門医制度」は、延期論も出てはいるが、実現性はあるのかとの意見に対して、協会は「新専門医制度」を巡る情勢は混沌としており、今後が見通せない。より根本的な問題も議論されていない。「新専門医制度」は、全員がいずれかの領域別専門医になることを前提にしているが、本当にそれは正しいのか。その点も議論が必要であると述べた。

 これに対して地区からは、「新専門医制度」の議論をみて、専門医そのものが必要ないという人も増えてきている。これでは本末転倒だろう。協会は、厚労省は少なくとも「新専門医制度」と標榜制度を結びつける意向であり、診療報酬も含め、専門医と非専門医の格差も生み出されていくだろうと分析した。

 さらに、地区からの専門医の更新に一定の症例数が要件になれば開業医では更新できない人も出るという意見に対し、協会はそうした声を受けて、各領域では更新ハードルを下げてきている。また、総合診療専門医が養成されるものの、今の地域の開業医がGPやかかりつけ医という形で位置づけられないと、国の考えている提供体制には到底ならない。都道府県の役割の強化については、地域医療構想策定にあたっても、都道府県での病床数の調整が求められている。京都府は厚労省の言いなりではない立場で動いているが、引き続きそのようにやってもらう必要があると述べた。

 また、地区の現状と地域包括ケアでは、地区から国は地域での看取り推進や在宅医療推進を訴えている。現在、右京区人口が約22万人、うち高齢者が約5万人で看取りや訪問診療ニーズは増え続けているが、在宅医療をがんばっている医師は20人に満たない。それで本当に対応できるのか疑問である。必要な医師数データは出されているのかと質された。これに対して、協会は対1万人に1人の総合診療専門医をとの話が出たことがある。国は極めてシビアに考えている。厚労省がかかわって策定される地域包括ケアの言葉は美しいが、研究会報告書は独りで死ぬことも覚悟せよ、とさえ書いている。看護師の看取りによる死亡報告を受けて診断書を発行できるようにしようと国は考えているようだと返答した。

 その他、医療事故調査制度、マイナンバーと医療ID構想等について意見交換を行った。

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