受診時定額負担への反対論続出/民主・医療費議連
「適切な医療費を考える民主党議員連盟」は8月4日、政府・与党の社会保障・税一体改革成案に盛り込まれた受診時定額負担をテーマに、厚生労働省、日本医師会、日本歯科医師会からヒアリングした。日医と日歯があらためて反対姿勢を示したほか、民主党議員からも反対論・慎重論が続出した。議連は8月中に受診時定額負担をめぐって再び議論し、意見集約を図る予定だ。
議連事務局長の梅村聡参院議員がまず、受診時定額負担に関する問題点を提示。▽患者の一部負担割合を変えずに「抜け道」で負担を増やそうとしている▽保険者、被保険者、医療提供側の了解なしに新たなルールが突然、出てきた▽高額療養費と定額負担を結び付けた理由が不明―と指摘した。
厚労省保険局の武田俊彦総務課長は、一体改革成案の内容や、高額療養費制度の現状について説明し、受診時定額負担については社会保障審議会や中医協で十分に議論していく姿勢を示した。
日医の中川俊男副会長は、高額療養費制度の見直しで患者負担を軽くすることには賛成する考えを示した上で、財源は保険料や公費に求めるべきだと主張した。具体的には▽保険料上限見直しで高額所得者に応分の負担を求める▽組合健保などの保険料率を協会けんぽに合わせて公平化する▽消費税率を見直す―との方法で財源を確保すべきという考えを述べた。
日歯の大久保満男会長は地方経済の厳しさを指摘し、現在の患者3割負担でも「限度を超えている」と述べ、新たな負担増に反対する立場を示した。
●「皆保険の根幹揺るがす」/絶対阻止と櫻井財務副大臣
議連顧問の櫻井充財務副大臣は「なぜ高額療養費制度と受診時定額負担がセットになっているのか、まったく理解できない」と批判。厚労省が保険者間の保険料率一律化などに手を付けていないと指摘し「取りやすいところから取るようなやり方は根本的に間違っている。(定額負担が)100円で済むはずがなく、いずれ500円、1000円になる。国民皆保険の根幹を揺るがすようなことは絶対に阻止すべき」と語った。議連としては反対意見をまとめるよう主張した。
ほかに民主党議員からは「重い病気の人を軽い病気の人が支えるのは明らかにおかしい」(初鹿明博衆院議員)、「(保険)免責性の導入を視野に入れているのでは、という疑いがある」(川口浩衆院議員)といった声が出た。
会合終了後、記者団の取材に応じた梅村議員は、厚労省が財務省や保険者に支出を求めることを避けているのではないかとの疑念を示した。また、定額負担で想定している財源について、医療保険の枠組みでの負担や、公費負担によるシミュレーションを厚労省が事前にしていないのではないかと指摘した。(8/5MEDIFAXより)