受診時定額負担の議論スタート/医療保険部会が再開  PDF

受診時定額負担の議論スタート/医療保険部会が再開

 厚生労働省の社会保障審議会・医療保険部会が7月21日、再開した。2010年12月以来の開催。厚労省が「社会保障・税一体改革成案」の概略を説明し、自由討論を行ったが、この日は全体的な議論にとどまり、各論には至らなかった。受診時定額負担制度や総合合算制度、次期診療報酬改定といった個別項目の審議は9月以降に始まる。厚労省は、早ければ12年の通常国会に社会保障改革関連法案を提出する予定。このため年内に同部会でも社会保障改革について集中審議し、意見を取りまとめたい考えだ。

 保険局総務課の武田俊彦課長は、社会保障改革成案の基本的な考え方に「より公平・公正で自助・共助・公助の最適なバランスによって支えられる社会保障制度に改革をしていく」という文言が盛り込まれたことを指摘し、「重要な概念だ」と強調した。高額療養費の負担軽減については、受診時定額負担など初診・再診時に100円の負担をお願いできれば財政中立を保てると説明した。

 ただ、受診時定額負担については各委員から意見が相次いだ。大谷貴子臨時委員(全国骨髄バンク推進連絡協議会前会長)は「個人的には100円負担しても構わないが、患者団体が反発するのは目に見えている。健康な人は負担せず、病気や怪我で弱者になっているときに負担するというのはどうか」と疑問を呈した。

 鈴木邦彦臨時委員(日本医師会常任理事)も「高額療養費は保険料などに求めるべき。定額負担が導入されてしまえば水準引き上げが行われるのは明らかで、低所得者の受診抑制につながる」と懸念した。

 さらに、「給付範囲がはっきりしていない」と厚労省にせまると、武田課長は「どのような制度が考えられるかは、予備資料を整えた上で時間を取って議論したい。ただ、医療全体を保険給付の対象とし、負担率と定額負担を保険給付から控除する形を念頭に置いている」と応じた。

 このほか、小林剛臨時委員(全国健康保険協会理事長)は保険者の財政基盤強化の方針を具体策につなげるよう要望。高原晶臨時委員(諫早医師会長)は、診療報酬上の加算を加味しても後発医薬品の使用促進で医療費削減効果が出ているのか資料を提示するよう求めた。

●新部会長に前中医協会長の遠藤氏
 医療保険部会の新部会長には、3月末まで中医協会長を務めていた遠藤久夫・本委員(学習院大経済学部教授)が就任した。本委員の互選で決まった。部会長代理は岩村正彦臨時委員(東京大大学院法学政治学研究科教授)。(7/22MEDIFAXより)

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