受診抑制実態アンケート結果
患者と医療機関苦悩まざまざ
診療手控え、窓口負担未収…
協会は2011年10月から12年4月にかけて、会員医療機関を対象に「受診抑制の実態」アンケートを実施した。このアンケートは、高すぎる患者負担や市町村国保での資格証明書発行などで患者の受療権が狭まる中で、医療現場でどのような問題が起こっているかを明らかにするため行ったもの。04年度と06年度も類似調査を行い、マスコミへの情報提供や改善に向けた厚労省交渉、府内自治体との懇談などで活用している。今回はその後の状況を調査し、06年度との比較も行った。今回の結果もふまえ、改善要求につなげていく。11年度の調査対象は2287人、回収数は473(回収率21%)。
なお、アンケート用紙は11年度地区懇談会開催の当該会員に対してのみ送付。詳細はメディペーパー8月号に掲載する。
資格証は医療に影響
市町村国民健康保険で保険料滞納により資格証明書を交付された患者さんを、この1年間で診療経験がある医師は12%で、そのうちの74%が窓口や診療で困ったことがあると回答。(図1)
困った内容は、?患者さんが医療費の10割負担をしないといけないことを理解していない(51%)?患者さんが窓口負担を支払えず医療機関が被った(37%)?費用面の心配から医療機関側が配慮して診療内容を手控えた(33%)?費用面の心配から患者さんの依頼で診療内容を手控えた(30%)―などの順であった。(図2)
また、受診遅れによる重症化や死亡事例の経験があるとの回答が6人、間接的に聞いたとの回答が9人あった。
資格証明書での受診に関しては5年前の調査とほぼ同様の結果が出ており、「診療内容の手控え」「負担を医療機関が被る」ということを余儀なくされる事態が常態化していることが改めて明らかになった。
窓口トラブル著増
窓口負担を巡り、窓口でのやりとりや診療に際して困った経験について、33%が「ある」と回答。5年前の10%から23ポイント増加しており、この間の負担割合に大きな変動はないため、厳しい経済情勢の中で3割負担による受診抑制などがますます広がっていると推察される。(図3)
困った事例については、上記の?(61%)?(47%)?(17%)などの順であった。(図4)
注)京都府内の資格証明書交付数は2011年6月1日現在4815世帯で、5年前(06年6月4739世帯)から76世帯増加。交付世帯数はいったん08年に5020世帯まで増加したが、同年に社会問題化した「無保険の子」への対応として、資格証明書の交付について機械的な運用を行うことなく対処することを求める通知(10月30日)などが出されたこともあり、09年度には交付数が4810に低下していた。また、自治体によって対応が分かれるため、交付しているのは26市町村中、京都市、福知山市、舞鶴市、綾部市、宇治市、亀岡市の6市(11年6月)である。