受療者は自己負担望まない傾向強く/受保連が調査  PDF

受療者は自己負担望まない傾向強く/受保連が調査

 受療者医療保険学術連合会(受保連)の在宅医療ワーキンググループ(WG)の調査によると、高齢者の療養に対する公的医療サービスの財源負担について、「公費」を増やすことを望んでいる人が50.7%だったのに対し、「個人負担保険料」は減らすべきとの回答が31.4%で、受療者は自己負担を望まない傾向にあった。今回の調査は同WGが7−8月に在宅療養関連の受療者や家族らを対象に実施し、255人が回答した。9月14日に開いた受保連・総会シンポジウムで同WGの宮崎詩子氏(受領者側)が報告した。

 75歳以上が対象となっている後期高齢者医療保険制度について「財源不足が理由で公的保険適用となる治療に何らかの制限が必要になった場合、どのような制限なら受け入れられるか」との問い(複数回答)に対しては、「給付額の制限」が44.5%で比較的多いものの、「財源を確保し現行通り」を求める回答も34.3%を占めた。一方で「治療内容の制限を受け入れる」が26.9%、「治療回数の制限を受け入れる」が29.4%だった。貯蓄など費用の準備が「ない」と回答したグループの方が「ある」と回答したグループより、治療内容制限や治療回数制限を受け入れる割合が高かった。

 同WGは「在宅療養費の準備状況にかかわらず、制限を受けたら工夫はできるが、負担はやはり避けたい、との意見が強かった」とした。

●求められる「多機能型」のかかりつけ医
 在宅医療WGの清水惠一郎氏(日本臨床内科医会常任理事)は「回答結果から在宅ケアに関心がある一方で不安も感じており、公的な保険の充実を求めている。在宅療養が必要になった時に相談に行くのは地域支援センターや区役所が多かった」と説明。「複数疾患を合併している高齢患者に対峙していくには多機能に対応できるかかりつけ医が必要になっていく」とし、かかりつけ医機能も変化していくとした。

 清水氏は「高齢患者の個々の疾患の数値だけをよくするために高額薬剤を使うような治療であってはならない。これは医学教育から変えていくことが必要だ」と述べ、医療経済の側面からも受療者が納得できる対応を相互に検討していくことが必要とした。(9/18MEDIFAXより)

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