原発災害対応で長期的健康管理/福島県復興ビジョン提言案
福島県が東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故からの復興ビジョン策定に向けて設置した福島県復興ビジョン検討委員会(座長=鈴木浩・福島大名誉教授)は7月2日、「福島県復興ビジョンについての提言(案)」をおおむね了承した。提言案は基本理念に「原子力に依存しない、安全・安心で持続的に発展可能な社会づくり」を打ち出し、「脱原発」の姿勢を明確に示した。原子力災害対応の施策例では、放射線の影響に関する長期的健康管理や最先端の研究・医療を行う施設を県内に整備することなどを示した。
提言案の主要施策は▽緊急的対応▽ふくしまの未来を見据えた対応▽原子力災害対応―の3本柱で構成する。
「緊急的対応」では、地震・津波による被害に原子力災害を伴うことで医療・福祉などに関する応急的な取り組みにも相当程度の期間を要することを想定し、応急的な復旧・生活再建支援についても復興ビジョンの重要な要素として位置付けることを強く求めた。
「ふくしまの未来を見据えた対応」では、施策例として「放射線に関する情報の迅速な提供やきめ細かな健康診断など」を挙げ、安心して子どもを育てられる環境整備に取り組む方針を示した。
「原子力災害対応」では「原子力災害の影響についての研究、放射性物質による汚染を克服する研究および除染の実施、県民の健康を守るための長期的取り組みを進めることが求められる」とし、▽県民の健康調査▽健康被害の早期診断▽治療体制の整備─を施策例に盛り込んだ。
提言案は、7月2日の同検討委で出された意見などを踏まえて細部を修正する。7月中旬をめどに提言を取りまとめ、佐藤雄平・福島県知事に提出する予定だ。(7/5MEDIFAXより)