原発審査体制の課題提示/原子力安全白書
国の原子力安全委員会は3月31日、2007年の新潟県中越沖地震による東京電力柏崎刈羽原発の損傷を受け、「事業者の申請内容について、安全審査で適切に検討する体制づくりが必要」などとする07、08年版原子力安全白書を閣議に報告した。
従来の審査体制が十分でなかったことを事実上認める内容。
白書は「設計時の想定を大きく上回る揺れが観測され、原子炉周辺設備を中心に影響を受け、国民に不安や懸念を与えた」と記述。
「安全委は、柏崎刈羽の設置許可時の安全審査は最善を尽くしたと考えている」としたが、審査で申請内容をチェックし、想定外の事態を防止する体制は十分かという(専門家などからの)問題提起があり、安全審査の中立性や透明性の確保などで充実、強化を進めていると”釈明”した。
また、「地震は自然現象で、全容は把握できていない。自然現象に謙虚に学び、常に最新の知見を安全確保に反映すべきだ」と強調している。
中越沖地震の震源とされる海底断層について、6、7号機の安全審査では長さが最大8キロとしながらも活断層とはせず、03年に東電が約20キロの活断層と再評価したが公表しなかった経緯を記した。中越沖地震後、東電や国は約36キロと評価を変えた。
中越沖地震後の対応に追われたため、07年版白書は発行せず、今回2年分をまとめた。【共同】