原発再稼働差し止め 高浜で画期的決定も川内は申し立て却下
真に住民の視点に立った司法判断を
鹿児島地裁は4月22日、九州電力川内原発1・2号機の再稼働の前提となる新規制基準、原子力規制委員会の審査のいずれも「不合理な点は認められない」と判断。川内原発の耐震安全性に問題はないと認定し、周辺住民らが再稼働差し止めを求めた仮処分申し立てを却下した。
5月6日には、住民らが即時抗告を福岡高裁に行い、あらためて川内原発再稼働の差し止めを求めている。協会はこれらを受け、人々の健康と生命をないがしろにする原発再稼働を行わないよう求める抗議声明を、電力会社および政府に届けた。
声明では、4月14日に関西電力高浜原発3・4号機に対する再稼働差し止めの申し立てに対し、福井地裁が新基準は「緩やかにすぎ、合理性を欠く」と指摘。新基準を満たしても安全性は確保されないと判断し、住民らの訴えを認めて仮処分を決定していることを指摘。
福井地裁の決定理由では、各電力会社が想定する最大の揺れ(基準地震動)を超す地震が、2005年以降だけで福島第一など4原発が5回発生していることを挙げ、想定そのものが信頼性を失っているとした。また、万が一の危険という領域をはるかに超える、現実的で切迫した危険があると認定している。
協会は、住民らの人格権が侵害される危険性があると認めた画期的な決定で、まさに住民の視点に立ち、人々の命と安全を守るために行った素晴らしい司法判断と賞賛した。
一方で、鹿児島地裁がこの決定の内容をなんら顧みることなく、仮処分申し立て却下としたことは、福島第一原発事故を直視せず、九州電力あるいは政府の主張だけに耳を傾けた結果だと指摘。協会は、真に住民の視点に立った司法判断を強く求めるとともに、福井地裁の決定を電力会社や政府が真摯に受け止めるよう求めた。