原発事故対応でプロジェクト委を設置/日医  PDF

原発事故対応でプロジェクト委を設置/日医

 日本医師会は福島第一原子力発電所事故への対応を協議する「福島県原子力災害からの復興に関するプロジェクト委員会」を設置した。8月10日に初会合を開く。福島県内の医療関係者7人を委員とし、現場の声を集約し、日医の今村聡常任理事が専門委員として参加している文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会に意見を伝える。8月3日の日医の定例会見で今村常任理事が明らかにした。

 委員は福島県医師会の木田光一副会長、星北斗常任理事のほか、沿岸部の郡医師会の役員、病院関係者で組織する。同審査会で取りまとめた中間指針を受けて、具体化に向けての課題を協議する。

●小児科・産婦人科で影響大
 今村常任理事は会見で、原子力損害賠償紛争審査会に提出した医療施設関係の調査報告書について説明した。政府による避難等の対象地域、対象地域外でともに医療機関の保険請求額が減少し、特に小児科、産婦人科で影響が大きいと報告した。

 調査では、対象地域の損害と対象地域外の損害、共通項目に分け、サンプル調査で影響を調べた。対象地域では▽営業損害▽入院患者の搬送に伴う医療機関・患者などの損害▽職員の就労不能などに伴う当該職員の損害▽授業中止などや学生の転学などに伴う医療関係職種の養成所の損害▽診療制限などに伴う住民の追加的コストと重症化による損害▽医師会の損害▽レセプト・コンピューター販売・情報サービス提供企業の損害─の7項目に分けて詳細に分析した。共通項目では、いまだ原発事故の影響は続いているとし、損害の終期の考え方と賠償金の仮払いの時期を課題に挙げた。

 今村常任理事は原子力損害賠償紛争審査会の今後の検討の在り方にも言及した。「メンバーは法務の専門家が多く、法律的な考え方が全面に出ている」とし、現場の状況を吸い上げていく必要性があると指摘。早急な実態調査と国民への情報開示、免責事項の考え方、過失と損害の因果関係の証明などを課題に挙げた。(8/4MEDIFAXより)

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