原因分析報告書を初公表/産科医療補償制度  PDF

原因分析報告書を初公表/産科医療補償制度

 産科医療補償制度を運営する日本医療機能評価機構は3月18日、補償対象事例の原因分析報告書の要約版を、初めて公表した。個人や分娩機関が特定されるような情報を隠した「全文版」の開示請求方法も示した。

 公表されたのは妊娠41週を迎えた2回経産婦の事例。子宮口を広げる機器メトロイリンテルを使って分娩誘発が行われた際、メトロイリンテルが滑脱し、人工破膜が行われた。33分後に突然、胎児の心拍数が減少する高度変動一過性徐脈が認められ、胎児よりも先に臍帯が膣内に出る臍帯脱出と診断された。帝王切開したが新生児仮死状態で、蘇生処置が行われた後、新生児搬送されたが、脳性麻痺を発症した。

 報告書では、脳性麻痺を発症した原因について「臍帯脱出、それによる臍帯血流の障害、そのために生じた胎児低酸素性虚血性脳症の可能性が高い」とし、臍帯脱出の発生原因は「特定できない」とした。臨床経過についての医学的評価では、問題はなかったと結論付けた。

 今後の産科医療向上のために分娩機関で検討すべき事項としては▽外来でのメトロイリンテル挿入▽外来での人工破膜について▽子宮収縮剤の投与量▽臍帯動脈血液ガス分析―の4点について言及した。

 学会・職能団体へは、破水やメトロイリンテルの使用などの要因と臍帯脱出との関連について症例を集積し、因果関係を検討するよう要望した。

 同制度では透明性の確保や再発防止、産科医療の質向上などのために原因分析を行い、報告書を公表することにしている。報告書は、数ページにまとめた「要約版」のほか、開示請求があれば個人や分娩機関が特定されるような情報を隠した「全文版」も公表する。(3/19MEDIFAXより)

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