厚生局 指導等の実施計画表を開示
近畿厚生局京都事務所は6月9日、15年度の「集団的個別指導対象件数算出表」と「指導等月別実施予定表」を開示した。これは、協会の開示請求により行われたもの。
「集団的個別指導対象件数算出表」(表1)によれば、15年度の対象は、146診療所、11病院となっている。
集団的個別指導は、レセプト1件当たりの平均点数が高い保険医療機関に対して、地方厚生局が行う行政指導である。平均点数の1・2倍(病院は1・1倍)であり、かつ概ね上位8%の保険医療機関を対象に実施される。なお、前年度、前々年度に集団的個別指導、個別指導を受けた医療機関は除外される。
診療所の選定は12区分に分けられる。院外処方を行う医療機関に対しては平均点数が補正されるが、近年、補正点数は開示されていない。
平均点数が高い診療所への個別指導が計画
一方、「指導等月別実施予定表」(表2)によると、個別指導の対象医療機関数は、13診療所、1病院が予定されている。今年度から選定理由の内訳が開示されるようになった。昨年度の実施予定表において内訳が開示されなかったことを受けて、協会から不服申し立てを行った結果、内閣府の答申を経て合計件数のみ内訳が開示されるようになった経緯から、今年度も開示された。
診療所の内訳は、情報提供1件、再指導10件、高点数2件、その他0件となっている。これから分かることは、診療所の個別指導において、京都で初めて、平均点数が高点数の医療機関に対する個別指導の実施が現実味を帯びてきた、ということである。高点数医療機関に対する個別指導が実施されれば、保険医の中に保険診療を委縮する気持ちが生まれるかもしれない。協会は保団連を通じ、高点数を選定基準とする集団的個別指導、個別指導を廃止するよう厚生労働省に対して毎年要請しているが、会員においては委縮診療に陥ることのないようお願いしたい。
また、再指導が10件となっているが、新規個別指導の結果、再指導となった診療所が多く含まれている。新規個別指導は教育的効果を目的として行われるものであるため、再指導の対象とすべきではないが、京都府の実態として、新規個別指導の結果、再指導となる診療所が増えている。協会は新規開業会員に対して奇数月第3木曜日に開催している「保険講習会B・新規個別指導対策」への参加を呼びかけている。ぜひ受講していただきたい。
さらに、協会は、個別指導において保険医の人権が脅かされてはならないと考えており、個別指導時の録音と弁護士の帯同を推奨している。会員の希望があれば、5万円(消費税別)+交通費実費の負担で、協会顧問弁護士、協力弁護士の帯同が可能である。ご相談いただきたい。