厚労省研究班、タミフル「異常行動の関連なし」
厚生労働省の薬事・食品衛生審議会安全対策調査会「リン酸オセルタミビルの臨床的調査検討のためのワーキンググループ(臨床WG)」は7月10日、抗インフルエンザウイルス薬「タミフル」の疫学調査を実施した厚生労働科学研究班から報告を受けた。調査結果では「タミフル使用と異常行動発現の間に、正の関連を検出するには至らなかった」と結論付けた。
8月ごろに開催する予定の安全対策調査会は、すでに報告を受けている基礎WGと今回の臨床WGの調査結果などに基づき、10代へのタミフル使用を原則中止している現状の措置について検討する。
同日、報告した厚労科学研究班は、「インフルエンザ随伴症状の発現状況に関する調査研究」と、「インフルエンザ様疾患罹患時の異常行動情報収集に関する研究」の2つ。
このうち、大阪市立大大学院公衆衛生学教室・廣田良夫教授が実施した疫学調査は、2006−07年に全国約700の医療機関でインフルエンザと診断された18歳未満の9715人を対象に実施。タミフルの服用と異常行動に関連性があるかを調べた。その結果、タミフルを服用した患者7487人のうち、異常行動を起こしたのは889人(11.9%)、服用しなかった患者2228人では286人(12.8%) で、その割合にほとんど差がなかった。
国立感染症研究所感染症情報センター・岡部信彦センター長が全医療機関を対象に実施した調査結果によると、飛び降りや急に走り出すなど重度の異常行動を起こした30歳未満のインフルエンザ患者が07−08年に77人いたことが報告された。重度の異常行動を起こした患者のうち31%がタミフルを服用し、「リレンザ」は14%だった。また発熱後1日以内の異常行動発現の割合は33.33%、2日目以内49.33%で、2日目までで8割を占めた。(7/14MEDIFAXより)