厚労省検討会 保険医定数制を論点提示 自由開業医制の見直し議論俎上へ  PDF

厚労省検討会 保険医定数制を論点提示 自由開業医制の見直し議論俎上へ

 厚生労働省の医療従事者の需給に関する検討会は、4月20日に「第2回医療従事者の需給に関する検討会・第5回医師需給分科会」を開催。「中間とりまとめ」に向けた議論を行った。

 厚生労働省は「ご議論いただきたい事項について(案)」と題して論点提示し、「十分ある診療科の診療所の開設について、保険医の配置・定数の設定や、自由開業・自由標榜の見直しを含めて検討」することを提起した。

需要超える開業を制限

 医師需給分科会では第3回会合(3月3日)に医師偏在にかかわって委員と厚労省が意見を交わす場面があった。

 第4回会合では「地域における診療機能」の「需要を大きく超えるような診療機能への就業・開設について、一定の制限が必要ではないか」との論点も挙げられた。

 協会は、今回の医師需要推計が地域医療構想での必要病床数推計同様の手法ではじき出されており、地域医療構想とリンクすれば「自由開業医制と衝突する」と指摘していた(2962号既報)。

医師管理本格化か

 論点提示では、「新専門医制度」に関連し「専攻医の募集定員については、診療領域ごとに、地域の人口、症例数等に応じた地域ごとの枠を設定することを検討してはどうか」、医療計画と関わって「都道府県が策定する医療計画において、医師数が不足する特定の診療科・地域等について、確保すべき医師数の目標値を設定し、専門医等の定員の調整を行えるようにしてはどうか」、各都道府県の地域医療支援センターを「所在地の医育機関との連携を講じた上で、医学部入学から生涯にわたって医師のキャリア形成・異動を把握し、医師のキャリア形成支援、配置調整ができるよう、その機能を強化してはどうか」との記述もある。

 浮かび上がるのは、地域医療構想も含めた医療計画、「新専門医制度」といった新たな仕組みの、国による医師管理・コントロールへの活用である。

 医師や診療科の偏在を解消し、いつでも・どこでも・誰でもが医療にアクセスできる環境を実現し、安心して暮らせる地域づくりをめざすことは当然である。しかし、国の医療費抑制策の延長線上で、医師の開業や医療の在り方への管理手法を導入することは、決して看過できない。

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