厚労省懇談 噴出する不安や疑問の声
「新専門医制度」で意見交換行う
2017年4月の「新専門医制度」による研修開始まで約1年。ここへきて日本病院会や日本医師会から実施延期が叫ばれる事態となり、厚生労働省の社会保障審議会・医療部会に設置された「専門委員会」での議論も始まった。
協会はこれまで主に「新専門医制度」について総合診療専門医を検証してきたが、昨年末から同制度が地域医療へもたらす影響への懸念が広がってきた。「第5回開業医フォーラム」(既報・2月7日開催)でも、特に初期臨床研修必修化以降、積極的に後期研修施設として若い医師を育成・医師確保を進めてきた中小病院の危機が濃厚となった(4面にアンケート結果)。
協会は3月18日、地域医療構想への懸念も含めた「『新専門医制度』ならびに医療・介護サービス提供体制改革について」の塩崎恭久厚労大臣宛要望書を取りまとめ、垣田さち子理事長と吉中丈志理事が上京し、厚労省との懇談を実施した。
厚労省からは医政局医事課医師臨床研修推進室・田村卓也室長、同・小野田充彦臨床研修係長、 医政局地域医療計画課・細川康二課長補佐が対応した。
懇談では要請内容に対する厚労省のコメントを受け、意見交換した。
厚労省は「新専門医制度」への懸念・指摘の拡大に関し、一般社団法人日本専門医機構(以下「機構」)は意見を真摯に受け止め、柔軟に対応するスタンスだ。社保審・医療部会の下に設置された専門委員会(「専門医養成の在り方に関する専門委員会」第1回会合・3月25日)でも、機構は地域偏在を助長しない努力や取り組みについて報告する。それに対し寄せられた意見を受け、さらに修正・検討するとした。
その上で協会の要請にある「大病院・大学病院でしか研修できなくなるのではないか」「中小病院から医師・指導医が引きあげられるのではないか」「新たな規制や義務化が課せられるのではないか」等の指摘について、ごもっともな点もあるだろうが、実は機構の説明不足が原因で誤解を招いている面もある。確かに領域によってハードルが高いものもあるが、19基本領域の基準は様々で、例えば必要な指導医数も違いがあり、プログラム整備基準ごとに地域医療への配慮に係る項目がある。それを機構が説明すべきだとした。(関連3面)
また同日、垣田理事長らは国会議員会館を訪れ、懇談の実現に協力いただいた福山哲郎参院議員(民主・秘書)、医系議員である倉林明子・小池晃議員(いずれも共産)と懇談し、地元での不安の声を届けた。