厚労省の村木元局長に無罪/大阪地裁
障害者団体向け割引郵便制度の悪用事件で、偽の団体証明書を作成したとして、虚偽有印公文書作成・同行使罪に問われた厚生労働省元局長の村木厚子被告(休職中)に対する判決が9月10日、大阪地裁であった。横田信之裁判長は「被告が証明書作成を部下に指示した事実は認められず、共謀があったとは認定できない」として、無罪を言い渡した。
村木元局長は「作成を指示したことも、部下らと共謀したこともない」として、捜査段階から一貫して無罪を主張していた。横田裁判長は元局長の関与を認めた元部下らの供述調書について「検察官の誘導があった」と、取り調べに問題があったことを指摘。公判で証拠採用しておらず、検察の捜査手法が問われそうだ。
検察側は、自称障害者団体「凛(りん)の会」元代表倉沢邦夫被告(一審で同罪無罪、検察が控訴)から口添えの依頼を受けた石井一参院議員が同省に要請した「議員案件」だったとし、担当課長だった村木元局長が元係長上村勉被告(公判中)に作成を指示したと主張。元局長に懲役1年6月を求刑していた。
計22回の公判では、証人尋問で上村被告が「1人でやった」と証言。ほかの厚労省関係者も、元局長の関与を認めた調書の内容を相次いで翻し、石井議員も口添えを否定した。弁護側は「議員への口添え依頼も議員からの要請も存在せず、大前提が否定された」と指摘。「強圧的な取り調べで不合理なストーリーに沿った調書を大量に作成し、強引に起訴した」と批判した。
村木元局長は2004年6月、上村被告ら3人と共謀し、凛の会を割引対象と認める偽の証明書を作成したとして起訴された。(9/13MEDIFAXより)