厚労省「看護師特定能力認証」で骨子案/「拙速過ぎる」の意見も  PDF

厚労省「看護師特定能力認証」で骨子案/「拙速過ぎる」の意見も

 厚生労働省は11月7日、チーム医療推進会議の「チーム医療推進のための看護業務検討ワーキンググループ(WG)」(座長=有賀徹・昭和大医学部救急医学講座教授)に「看護師特定能力認証制度」の骨子案を示した。厚労省は次のチーム医療推進会議で骨子案と議論状況を報告し、12月初旬の社会保障審議会・医療部会に提示したい考えだ。

 これまで暫定的に「特定看護師(仮称)」としてきたが、WGで名称独占や業務独占への懸念が示されていることを踏まえ、看護師特定能力認証制度とした。骨子案では特定行為(特定の医行為)を「医師・歯科医師の指示の下、臨床に係る実践的な理解力、思考力、判断力その他の能力をもって行わなければ、衛生上危害を生ずるおそれのある行為」と定義。特定行為は▽実務経験5年以上▽8カ月−2年間程度のカリキュラムを修了▽厚生労働大臣の実施する試験に合格―によって特定能力の認証を受けた看護師が一定の体制下で実施することができるとした。特定行為の範囲は省令や告示など下位法令で規定する。褥瘡の壊死組織のデブリードマンや脱水の判断と補正といった特定行為の具体例については、今後も引き続き検討する。

 議論では、認証の要件について秋山正子委員(ケアーズ白十字訪問看護ステーション統括所長)が「実務経験5年以上はこれまでのディスカッションでは触れられていない」と指摘した。

 また、厚労省は認証制度の創設に伴う医行為の分類案も示した。▽行為・判断の難易度が著しく高く法律上「診療の補助」に含まれないことが明確な「絶対的医行為」▽行為の侵襲性が相対的に高く行為の難易度が高い「特定の医行為」▽実施者の裁量性が相対的に高く高度な判断能力を要する「特定の医行為」▽行為の難易度・判断の難易度ともに看護師一般が実施可能な「一般の医行為」―の4分類に対して、竹股喜代子委員(亀田総合病院看護部長)は「一般の医行為とは何なのか、現場は混乱している。今後の議論で詰める必要がある」と述べた。

●骨子案に委員ら「拙速過ぎる」
 厚労省の骨子案に対し、複数の委員から「拙速過ぎる」との声が上がった。星北斗委員(財団法人星総合病院理事長)は冒頭で「この段階で骨子案というのは納得できるものではない」と強調。特定看護師業務試行事業の経験や実績を基にした国民的議論が必要であり、現時点でその段階には達していないと指摘した。川上純一委員(浜松医科大付属病院薬剤部長)や小松浩子委員(慶応大看護医療学部教授)も「急ぎ過ぎの感がある」との懸念を示した。

●「看護師に限らない認証制度を」
 川上委員は、認証制度について「医療法の中に認証制度を位置付け、どの職種にも適用することとすれば、チーム医療に関して突破口を開くのではないか」と提案した。有賀座長も「少し考えてみる価値はあるだろう」と応じた。(11/8MEDIFAXより)

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