厚労省、29兆5882億円を概算要求/12年度政府予算案
厚生労働省は9月28日、2012年度予算概算要求項目を公表した。一般会計の要望額は29兆5882億円で、前年度から1兆2114億円の増額要求(4.3%増)となる。うち医療・年金などの経費は28兆3512億円(1兆1559億円増)を占める。政府は医療・年金など社会保障費の自然増分1兆1600億円はそのまま確保する方針を示している。自然増の内訳は医療4800億円、介護1200億円、年金3000億円、福祉・雇用2600億円となった。厚労省は9月30日にも概算要求を財務省に提出する。
12年度予算編成で政府が設ける約7000億円の特別枠「日本再生重点化措置」もフル活用し、総額1059億円分を重点化施策として要望する。特別枠の前提となる1割の予算カットについて、厚労省は「事業仕分けなどで見直しが必要と判定されたものを中心に削った」と説明している。
厚労省の公表資料「概算要求の主な新規施策等」によると、医療・介護分野では「在宅医療・介護の推進」を柱に掲げ、特別枠で要望する方針。在宅チーム医療を担う専門職とその指導者の育成・研修費用などに8.7億円を充てたい考え。さらに、多職種協働による在宅医療提供体制を構築するための医療機関連携や、地域ごとの薬局無菌調剤室の共同利用整備、在宅介護サービスの充実強化策などに89億円を要求する。このほかにも在宅関連では、国立高度専門医療研究センターを中心としながら、がんや精神疾患といった個別疾患特有のサービス支援策についても研究していく。要求額は29億円。
このほかに医療関連では、地域ごとに医療機関の診療情報データを集約し、相互閲覧できる仕組みを構築して災害時にバックアップする医療情報連携・保全基盤整備に取り組む。構築費用として20億円を特別枠で要求する構え。新型インフルエンザ対策では抗ウイルス薬やプレパンデミックワクチンの備蓄費も特別枠で134億円を計上する。
新たな医療技術の開発を促進するライフイノベーション施策も特別枠に盛り込んだ。個別疾病の診断・治療法の実用化支援策として185億円、臨床研究中核病院の整備費用として89億円、医薬品・医療機器の承認審査の強化に113億円、新規医療技術の費用対効果を検証できるようにするための調査費用として7700万円を計上した。
東日本大震災からの復旧・復興対策費2209億円は、概算要求の大枠とは別途要求することになる。B型肝炎の給付金経費は、具体的な要求額を示さず年末までの予算編成過程で検討する「事項要求」扱いにする。診療報酬・介護報酬改定や社会保障と税の一体改革に伴う制度改革などについては、年末までの予算編成過程で検討する。(9/28MEDIFAXより)