厚労省、複合型サービスで人員基準案/社保審・介護給付費分科会  PDF

厚労省、複合型サービスで人員基準案/社保審・介護給付費分科会

 2012年度から介護保険制度に創設する「複合型サービス」の概要が固まった。これまで小規模多機能型居宅介護であまり引き受けられなかった医療ニーズの高い要介護高齢者に対応できる体制を敷く。厚生労働省は9月22日の社会保障審議会・介護給付費分科会で人員配置基準案を示したほか、複合型サービスで看護師は医師の指示の下「診療の補助」として一定の医療行為を実施できるようにすることなどを提案した。委員からは目立った異論はなかった。支払い方式は包括報酬として、さらに検討を進める。

 この日の会合で厚労省は、施設や設備、介護職の従事者数やサービス提供範囲などで、既存の小規模多機能事業所や訪問看護事業所の要件を踏襲する案を示した。利用者の医療・看護ニーズに対応するための看護職の配置については2.5人を基準に▽24時間の訪問体制を確保した場合は評価する▽看護職の夜勤・宿直配置は必要に応じた体制を確保できる基準にする▽(医療機関などにある)訪問看護登録事業所が十分な人員を確保した上で複合型サービスを一体的に運営する場合は看護職の兼務を認める─などを挙げた。また、複合型サービスでは、訪問看護指示書と主治医への報告を前提に「診療の補助」を行えるようにすることを提案した。

 管理者要件については、日本看護協会が実施している複合型のモデル事業の経過を報告した齋藤訓子委員(日看協常任理事)が、在宅での緊急時や看取りの対応を踏まえたケア方針を立てる必要性から、訪問看護経験のある看護師または保健師に限定すべきと意見した。

 厚労省が示した概要案では、既存の訪問看護事業所が複合型サービスとしての人員配置基準も併せて満たして設備や従事者を整えて複合型サービスも提供する場合、看護職については兼務を可能にして柔軟な人員配置ができるようにすることも示唆された。訪問看護事業所が主体的に複合型サービスを新たに開始しようとする場合、単独では、小規模多機能型の機能を新たに付与する必要があるが、有床診などの医療機関に併設する訪問看護事業所の場合、既存のインフラと人材が有効活用できる。この点に関して三上裕司委員(日本医師会常任理事)は、兼務を認める方向性を支持した上で、小規模多機能が提供する「通い」「訪問」「泊まり」のうち「泊まり」の重要性を強調し、有床診を活用して複合型サービスが普及すれば、これまでレスパイトケアの観点から繰り返し必要性が議論されてきた「ショートステイ」のニーズも同時に満たすことができるとして「非常に期待している」と述べた。

 12年度から創設される小規模多機能と訪問看護の複合型サービスは、今後増えることが想定されている医療ニーズの高い要介護高齢者の在宅療養を支えるために、基本的には小規模多機能型居宅介護事業所に訪問看護を加えるというイメージ。一定の医療行為やリハビリテーション、看護師のアセスメントなどを可能にするサービスで、厚労省が9月22日の会合に示した資料でも、在宅での看取り体制の整備に向けた効果や、複合型との柔軟な人員配置により訪問看護ステーションの規模拡大や経営安定化を図る効果に言及している。(9/26MEDIFAXより)

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