協会談話 両案とも受け入れ難し/社会保障・税一体改革で与野党「修正協議」  PDF

協会談話 両案とも受け入れ難し

社会保障・税一体改革で与野党「修正協議」

 社会保障・税一体改革に関する修正協議が、民主・自民・公明の間で6月8日からスタートした。この間、消費税増税法案の今国会成立をめぐり、与党・民主と野党・自公の攻防が続いてきた。しかし、もともと民自両党は消費税増税については一致している。修正協議入りが事実上、消費税増税法案成立への一歩となることは必至であろう。

高齢者医療が焦点に

 報道では、自民党側が社会保障部分の対案としてまとめた「社会保障改革基本法案」骨子に関し、丸のみするよう要請。これに対し、民主党側は「協議ではマニフェストに書いてある主張をさせてもらう」と述べたという。

 修正協議で焦点となる懸案の一つが「後期高齢者医療制度」廃止である。民主党は政権公約で廃止を宣言し、それが政権交代の最大の原動力となった経過がある。民主党は厚生労働部門会議で「後期高齢者医療制度を廃止し、75歳以上の方に対する国民健康保険等の措置を講じる」とする見直し案を5月31日にとりまとめた。これに対し、自民党の対案は、「現行の制度を基本」と明記しており、これを丸のみさせることで、ことごとくマニフェストを守ることのできない民主党を国民に印象づけようとのねらいも見受けられる。

「国民会議」設置に懸念

 さらに今回の修正協議は、わが国の社会保障制度の将来像にかかわる問題を含んでいる。自民党の対案では「社会保障制度改革国民会議」の設置が提起されている。この提案について、民主党側からも、今回自民から出された対案は、「修正協議で議論するのでなく自民の提案する国民会議で議論すべきだ」という言い方で、設置に積極的な意見が出されている。これは社会保障が実質的大連立ののりしろにされようとしていることを指す。さらに、政府の社会保障・税一体改革大綱における社会保障改革プランと自民党対案は、そのいずれをとっても、根本的には同じ理念・方向性に貫かれている。すなわち、どちらをとっても社会保障拡充で国民の生命や健康を守る提案は皆無で、すべて社会保障費用の抑制策に過ぎない。このような提案しか生み出せない与野党の実情では、もし国民会議が設置されたとしても、従来の新自由主義・構造改革路線による社会保障改革方針は転換されず、むしろ事態を悪化させる「改革案」が、生み出されるばかりである。

 協会は、この事態を重く受け止め、6月8日に垣田副理事長が「政府案と自民党案しか選択肢がないのは国民的不幸だ」と指摘する談話(全文はこちら)を発表し、関係するすべての議員に送付した。

 一方でまだまだ復旧のめどが立たない被災地の実態もある。政府や野党・自民党の進める社会保障原則をねじまげる論議には怒りを禁じえない。

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