協会、韓国医療視察を実施/TPPは公的保険の形骸化と医療の営利化招く  PDF

協会、韓国医療視察を実施

TPPは公的保険の形骸化と医療の営利化招く

 協会は韓国医療視察を5月3日〜6日にかけて実施した。韓国の公的医療保険制度は日本のそれと非常に似ていること、また、韓国は米国とFTA(韓米自由貿易協定)を締結、今年の3月15日から発効していること―から、日本がTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)に参加した場合の医療分野における影響や、医療ツーリズムの実態を探るべく、今回の視察を敢行した。

 視察では、ソウルのグリーン病院、仁川の仁荷大学病院等の医療施設、韓国保健医療団体連合などを訪問。地元の医師等との懇談、施設見学などを行った。視察団は、団長の関浩理事長をはじめ、垣田さち子副理事長ら総勢15人であった。

 韓米FTAが発効してまだ日が浅いこと、2012年12月に韓国大統領選挙が控えていることから、劇的な変化が表面化している事態にはないが、仁川経済自由区域においては、これまで禁止されていた営利型の病院(株式会社による経営が可能。完全な自由診療ができる)が、すでに始動するなどしていた。また、FTAにより、薬剤や医療材料の価格が高騰し、公的医療保険の総枠を拡大しない限り、技術料の引き下げにつながるほか、民間医療保険の弊害となると判断された場合には、公的医療保険制度の拡充すらできなくなり、公的医療保険制度が、限りなく縮小の方向へしか向かえない危険性が、懇談等を通じて示唆された。

 また韓国では、韓米FTAに対して、医療界を挙げての反対運動には至らなかった。韓米FTA締結後には、韓国人であっても米国内で医療者として自由に働けるようになるという話が流布され、多くの医療者が国内の不自由な公的医療への不満から、FTA反対を唱えなかったのだという。これは日本の医療者にとっては、他山の石である。

 今回の視察で、公的医療保険制度の形骸化と、医療の営利化をもたらすTPPは、患者のための医療から、投資家や企業のための医療へと、医療そのものの目的を大きく変貌させるという問題点が明白となった。

 なお、今回の「韓国医療視察」については、本紙「銷夏特集号」(8月20日発行)において、特集するのでご期待いただきたい。

ソウルのグリーン病院前にて

ソウルのグリーン病院前にて

グリーン病院で医師団(右側)と懇談

グリーン病院で医師団(右側)と懇談

関理事長と禹医師(保健医療団体連合)

関理事長と禹医師(保健医療団体連合)

ページの先頭へ