医薬品「届かない」悲痛な訴え/ガソリン不足、空輸も検討  PDF

医薬品「届かない」悲痛な訴え/ガソリン不足、空輸も検討

 東日本大震災の被災地で、医薬品や衛生材料など物資の調達が困難を極めている。厚生労働省によると、被災地に設けた拠点までは輸送できているが、ガソリンが不足しているため、拠点から各避難所や医療機関に運ぶことが難しくなっているという。事態の深刻化を受け、厚労省は、自衛隊ヘリによる空輸の検討を始めた。

●「集積所から先に進めない…」
 「救援物資が届かない。希望医薬品は、風邪薬、胃腸薬、湿布、マスク、手指消毒薬、傷の消毒薬…」「近隣住民の残薬が少なくなっているようだが、ガソリンなどほぼなく、動きにくい状況のようだ」「病院の機能すら失いかねない事態に直面している」―。

 宮城県薬剤師会ホームページの災害用掲示板には、震災発生後、県内の病院や薬局などから、物資の不足を訴える悲痛な訴えが寄せられている。

 厚労省は、被災地で調達が難しい医薬品などについて、医療機関から県庁を通じて要請を受け、現地に届ける体制を構築。透析輸液や破傷風ワクチン、医療用酸素ボンベなどを搬送している。それでも「現地の集積所まではようやく届くようになったが、ガソリン不足でそこから先が進んでいない」(細川律夫厚生労働相)。細川厚労相は3月18日の会見で「場合によっては自衛隊のヘリなどで運んでもらえるか、今まさに検討中だ」と述べ、自衛隊ヘリで医薬品を直接、避難所や医療機関に運ぶことも検討していることを明らかにした。

●ガソリン、西日本から大量輸送/震災前と同水準まで回復へ
 一方、経済産業省は、ガソリンなどの燃料不足の解消に向け、西日本にある製油所の稼働率を高めることで、1日当たり約2万キロリットルを供給することを柱とする緊急対策を決めた。北海道からも約1.8万キロリットルの供給を受け、被災前の東北地方の1日当たりの需要量である約3.8万キロリットルを確保する。

 さらに、西日本からタンクローリー300台を東北地方に移し、同地域のローリーを700台に増強。被災地域の重要な拠点となるガソリンスタンドを約100カ所指定し、物資を運ぶ緊急車両などに優先的に給油する。

 被災地での物流について、枝野幸男官房長官は3月18日の会見で「一般的な災害対応として想定をされていない事態が生じ、危機対応をしてきたが、そういう対応を長時間続けることはできない。本来のルートを復旧しながら増やす努力を重ねている」と述べた。(3/22MEDIFAXより)

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