医薬分業と後発品促進策、「効果は不明」/日医総研WP
日医総研は、政府が進める医薬分業・後発医薬品使用促進についてまとめたワーキングペーパー(WP)を公表した。国の政策導入により、調剤薬局や後発品メーカーは経営が向上し、雇用が拡大するなどの効果が出ており、今後の展開にも期待し先行投資を行っていると分析。一方で、医薬分業や後発品使用促進の成果は明らかではないと指摘した。
WPでは、医薬分業のメリットとして挙げられた「重複投薬のダブルチェック」について、「重複投薬・相互作用防止加算」の算定回数が少ないことから、そもそも重複投薬そのものが少ない可能性があると指摘。一方、「薬剤情報提供料」の算定回数が増加しており、処方内容の開示については院内処方でも進んでいるとしている。
●医科医療費が調剤医療費に置き換えか
調剤薬局にとっては報酬上のインセンティブがあることから長期処方が進んでいる一方で、通院間隔が開くことで再診の回数が減るとも説明。減少した分は医科の財源に回されるわけではなく「現状を見る限り、医科医療費が調剤医療費に置き換わっているように見受けられる」と指摘している。費用負担の増加や二度手間といった患者負担のデメリットも考慮し、総じて現状の医薬分業の効果に疑問を呈した。
後発品の使用促進についても、先発医薬品の薬価低下に一定の貢献があったとみる一方、薬剤単価は上昇し薬剤費比率も縮小していないことから、高価格の新薬の販売にシフトしたと推測している。
●政策を再評価し必要に応じ見直しを
ただ、医薬分業・後発品の使用促進の流れを逆行させることは困難とも指摘し、厚生労働省は総合的に検証して政策を再評価し、必要に応じて見直しを行うべきと主張した。参照価格制度の導入については時期尚早として問題視している。
その上で、保険薬局や後発品メーカーのうち全国展開している大手企業は、公的医療保険の下で医療に参加しているという自覚を持ち、ドラッグストアの調剤事業や医薬品メーカーの国内事業など、公的医療保険に関する部分を独立させ、それぞれの業績を報告する仕組みを設けることを提案している。(11/2MEDIFAXより)