医療費財源のカギは経済成長率/中医協会長の遠藤氏
中医協会長の遠藤久夫氏(学習院大経済学部教授)は6月25日、東京都内で開かれた全国公私病院連盟の総会で「日本の医療費水準を考える」と題して講演した。医療費について「私自身は高齢化を考えれば引き上げなければならないと考えている」とし、財源については「経済成長率にかかっている」と指摘。医療・介護の制度とその費用を国民に提示し、選択してもらうべきと提案した。
医療費確保の方策として考えられる▽公費負担の増加▽保険料の増額▽自己負担の増加─の3点について、それぞれの問題点を指摘した。公費負担の増加は公的債務残高の高さなどから困難とし、保険料の増額も現役世代の負担増や、保険料の支払いによる人件費の増などを懸念して失業者の増加が予想されると課題を挙げた。自己負担の増も低所得者の増加などにより、難しいとの見方を示した。その上で、今後、団塊の世代が高齢化すれば医療費の増は避けられないとし「医療・介護制度とそれに必要な費用との関係を明らかにして、国民に選択してもらうしかない」と提案した。
講演後、会場から「医療・介護分野は成長産業として成り立ち得るか」との質問があり、遠藤会長は考えはまとまっていないとしながらも「内需の支えにはなると思うが、日本を牽引するような産業にはならないのではないか」との見方を示した。(6/28MEDIFAXより)