医療費財源で「保険料上げ」提言へ/日医・原中会長
日本医師会の原中勝征会長は4月2日、日医の定例代議員会で、民主党が4年間は消費税を上げないと主張していることを前提に、当面の医療費増の財源として保険料の引き上げを主張していく考えを示した。保険料のうち事業主負担の割合を上げていくべきとの認識も示した。
原中執行部の誕生から一夜明けた同日の代議員会は、ブロック代表質問や個人質問が行われ、原中会長が精力的に答弁に立った。午前中のブロック代表質問では、関連質問に対する答弁を含め、全国8ブロックのうち6ブロックの質問に答えた。
原中会長は、医療費財源確保に向けた具体策について「今、考えられるのは保険料だ」と述べた。理由について、民主党がマニフェストで4年間は消費税を上げないとしていることや、消費税がこれまで実際に社会保障財源に組み入れられたことはないためと指摘。保険料については「すべて医療費に使える」とメリットを強調し「私たちから保険料の値上げを積極的に提案することも必要だろう」と述べた。
「日本の事業者の保険料の負担は世界的にも低い」とも指摘し、相対的に被保険者負担が増え、事業主負担が小さくなったと説明。「この点を戻せば、当面の保険料の確保は可能だと思う」と述べ「政府とともに提案していきたい」と述べた。
民主党がマニフェストに医療費をOECD平均まで増加させることを盛り込んだことにも言及。「政府の約束であり、医療費の確保を第一の政策とするように提言していきたい」とした。
●米国的なもの「民主との協議会で阻止する」
原中会長は、ナースプラクティショナー(NP)やメディカルスクールなどをめぐる話題が、現政権下で浮上している現状に不快感を示した。「民主党には医療の内容を適切に知っている人がいない」としたほか、「アメリカナイズされた医療を日本に持ち込もうとする勢力があることは事実だ」と指摘。「日医と民主党、厚生労働省で協議会をつくり、米国的なものが何の抵抗もなく持ち出されることを阻止する」と強調した。
日医の組織改革については「急激に勤務医が多くなった時代に対応できていない」と問題視。すべての医師が参加できる組織づくりを喫緊の課題に位置付けた。今回の会長選に向けたマニフェストには、弁護士会のようにすべての医師に医師会への加入を求めることを盛り込んでいたが「長期的な展望だ」とした。会長選を会員の直接選挙とすることも前向きに検討する姿勢を示した。(4/5MEDIFAXより)