医療費・医師数ともに引き上げ/総選挙へ民主が政策集
民主党のマニフェストの基となる「民主党政策集INDEX2009」(7月23日)では、社会保障費2200億円抑制を撤廃、入院医療の診療報酬を1.2倍にするほか、医師養成数を1.5倍に増やす政策が掲げられた。
政策集では、小泉構造改革の象徴である「2200億円」を撤廃、医療費抑制施策からの転換を図る。その上でGDP(国内総生産)に占める総医療費の割合を8.1%から経済協力開発機構(OECD)加盟国平均の8.9%まで段階的に引き上げる。0.8ポイントの引き上げで、単純計算で約4兆円の医療費増となる。
医療費増に向けた具体的な施策では、医師・看護師らの確保に努め地域医療を支える医療機関については入院医療の診療報酬を1.2倍とする。
医師不足対策では、人口1000人当たり医師数を現状の「2.1人」から、当面はOECD加盟国平均の「3.1人」を目指す。具体的には、大学医学部定員を1.5倍に増やす。さらに現役医師の有効活用策として、短時間の勤務も正規勤務とみなす制度の導入や、一定の条件で国立病院の勤務医ら医師公務員の兼業を解禁する。「医療従事者等確保支援センター(仮称)」を設置し、医療従事者の確保やあっせん、休職者の復職支援を行う。
中医協の構成・運営などの改革も盛り込んだ。具体策は示していないが、政策集の原案を検討した党厚生労働部門会議では、中医協委員に占める公益委員の割合を増やすなど委員構成の見直し案が浮上していた。
外来管理加算の5分要件は実際の診療になじまないとして撤廃する。
レセプトオンライン請求については「義務化」では導入が難しく、廃業を余儀なくされる医療機関が出るとして、「原則化」に改め、例外規定を設ける余地を残す。オンライン請求を導入した医療機関の負担が過度にならないよう、診療報酬上のインセンティブなどを設ける。
民間への売却が予定されている厚生年金病院と社会保険病院は、新たに創設する「地域医療推進機構(仮称)」に移し、医療法31条で規定する公的医療機関に位置付け、公的存続を図る。新生児の脳性麻痺に限った国の「産科医療補償制度」の対案として、対象を全診療科に拡大させる公的な「無過失補償制度」を創設する。(7/24MEDIFAXより)