医療計画見直しで報告書を了承/厚労省、作成指針を2月に通知  PDF

医療計画見直しで報告書を了承/厚労省、作成指針を2月に通知

 厚生労働省の「医療計画の見直し等に関する検討会」(座長=武藤正樹・国際医療福祉大大学院教授)は12月16日、2010年12月以来の議論をまとめた報告書「医療計画の見直しについて」を大筋で了承した。報告書は、22日の社会保障審議会・医療部会に提出する。厚労省は医療部会での議論を踏まえ、会合で示した「医療計画作成指針」案に基づいて作成指針改定や省令改正を行う。作成指針は医政局長通知・指導課長通知として12年2月をめどに発出する。

 報告書では医療計画の実効性向上を目指し▽2次医療圏の設定▽疾病・事業ごとのPDCAサイクルの推進▽在宅医療体制の充実・強化▽精神疾患医療体制の構築▽医療従事者確保の取り組み▽災害時医療体制の見直し―の6項目について検討会の考え方をまとめた。

 今回の見直しにより、13年度から始まる都道府県の新たな医療計画は、現行の4疾病5事業に精神疾患を加えた5疾病5事業となる。在宅医療については医療法改正により在宅医療を担う医療機関の役割を充実・強化し、退院支援や療養支援、急変時対応、看取りが円滑に実施できる体制を整備する方向だ。

 2次医療圏の設定についても医療の需給状況や患者の疾病構造といった変化に対応するため、入院患者の流出率・流入率に着目した必要な見直しを都道府県に求める。また、都道府県の医療審議会による1年ごとの評価などを通じてPDCAサイクルを推進することで、目標達成に向けて実効性を伴った医療計画へと一新することにも踏み込んだ。

●「在宅医療連携病院(診療所)」法制化を提案/厚労省
 最終会合となった検討会では、精神疾患・在宅医療の各指針骨子について議論した。在宅医療については「在宅医療連携拠点(連携拠点)」や「在宅医療連携病院(連携病院)」「在宅医療連携診療所(連携診療所)」を医療法で法制化し、医療計画で整備する方向性を示した。出席委員からは診療報酬上の「在宅療養支援病院(在支病)」「在宅療養支援診療所(在支診)」とどこが違うのかとの質問が相次いだ。

 連携拠点は、地域の実情に応じて病院・診療所・訪問看護ステーション・関係団体(地域医師会など)・保健所・市町村などが主体となる在宅医療の連携拠点で、厚労省では11年度の新規事業としてモデル事業を展開している。医政局指導課の井上誠一課長は整備イメージを「普通の大きさの市町村で1カ所程度」と説明した。

 連携病院・連携診療所は、在宅医療を提供する無床の一人医師診療所を支援することなどを想定した医療機能で、井上課長は現在検討中としながらも▽24時間体制を整えるなど自らも在宅医療を提供するとともに、在宅医療を担う他の医療機関を支援する▽介護する家族への支援を行う▽地域での多職種協働を支援する▽在宅医療を担う人材を育成する―といった要件を示した。(12/19MEDIFAXより)

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