医療計画の特例、周産期病床の増床進む/4月の条件緩和を受け
病床過剰地域であっても増床できる特例病床制度で、2008年4月に周産期病床を増床するための条件が緩和されたことを受け、これまでに3つの医療機関で増床が認められたことが分かった。条件緩和は全国的に周産期を扱う医療機関が不足している状況を改善するための措置であり、厚生労働省は「設備やスタッフがそろっていれば、積極的に増床を認める」との方針を示している。
厚労省医政局によると、条件を緩和した4月から9月19日までの間に、高知と大阪、山梨の3府県で、それぞれ約10床の増床が認められた。
このほかにも、増床を求める医療機関が所在する3つの自治体から厚労省に問い合わせが寄せられており、医政局は「4月に条件を緩和した成果が出ているのではないか」(指導課) と分析している。
1985年から始まった医療計画制度によって2次医療圏ごとに必要な病床数(基準病床数) が定められることになったが、基準病床数を超える病床過剰地域であっても、特定の疾患を扱う病床であれば増床できる特例制度も同時に創設された。「周産期の病床」のほか「小児疾患専門病床」「救急医療を扱う病床」など13種類の病床は、地域で不足していると判断された場合、基準病床数に達していても増床が認められる。
これまで「周産期の病床」を特例的に増床するための条件としては、医療機関にNICU (新生児集中治療室) やMFICU (母体胎児集中治療室) を設置することが必要だった。
しかし、厚労省は、全国的に周産期を担う医療機関が不足している現状を憂慮し、NICUやMFICUなど高度な医療設備がない一般の医療機関でも、スタッフに比較的余裕があれば、地域の実情に合わせて周産期の病床を増床できるよう条件を緩和した。
厚労省は一般の医療機関で周産期病床を特例的に増やすための条件として、医療関係者の研修設備が整っていることや、医療計画などで「周産期医療の拠点病院」に位置付けられていることを求めている。
ただ、こうした条件に合致しなくても、2次医療圏内で唯一、周産期を扱う医療機関であるなど、必要性が認められれば増床できるとしている。(9/22MEDIFAXより)