医療観光の促進で政府本腰/関係省庁が予算要求  PDF

医療観光の促進で政府本腰/関係省庁が予算要求

 政府は2011年度から、「新成長戦略」に盛り込まれた医療観光の推進に向け、本格的な体制整備に乗り出す。外国人患者と受け入れ医療機関の間のコーディネート機能の強化や、受け入れ医療機関のネットワーク化、認証制度の整備に向けた取り組みを始める。関係省庁が11年度予算の概算要求に関連予算を盛り込んだ。

●コーディネーター評価基準策定へ/観光庁
 外国人患者と受け入れ医療機関の間で橋渡し役を担うコーディネーターの機能強化に向けて動くのは観光庁。訪日外国人旅行者の受け入れ環境の整備と合わせ、2億5100万円を要求した。

 外国人患者と医療機関の間に立ってコーディネート機能を担う旅行業者は、海外でのプロモーションや現地旅行代理店と提携したツアー販売を行っている。だが「効果的な呼び込み方が分からない」との課題が指摘され、医療機関側からも「信頼できるコーディネーターと提携したい」との声が上がっている。同庁は、コーディネーターの評価基準の策定に向け、11年度中に制度を固める方針。評価によって質の向上を図ると同時に、得意分野を明確にすることで、医療機関との連携も促進させる考えだ。

●医療機関をネットワーク化、認証制度を整備
 経済産業省は、外国人受け入れの環境整備を含む「医療サービス国際化推進事業」に10億円を新規に要求した。サービス内容や外国人患者の情報を共有することで、多様なニーズに応えることを目指し、受け入れに意欲的な医療機関のネットワークを整備。受け入れを斡旋したり調整したりする支援組織も設置する。

 厚生労働省は、受け入れ医療機関の質の確保を図るため、施設内での外国語の案内表示など、外国人患者を受け入れる態勢を整えた医療機関を認証する制度の整備に向けた取り組みを始める。必要経費として3900万円を要求している。

 日本政策投資銀行の試算によると、20年時点で年間約43万人の国内潜在需要があるとみられ、市場規模は約5500億円、経済波及効果は約2800億円に上る。政府は新成長戦略で、12年度に外国人患者の本格受け入れを開始するとしており、20年にはアジアトップ水準の評価・地位を獲得することを目標に掲げている。(9/14MEDIFAXより)

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