医療者・患者の訴えに耳を貸さず リハセン附属病院廃止条例が成立  PDF

医療者・患者の訴えに耳を貸さず リハセン附属病院廃止条例が成立

 京都市会が3月17日、京都市身体障害者リハビリテーションセンター(市リハセン)附属病院廃止条例案を可決・成立させた。協会は、一昨年来、患者・現場スタッフ・市民団体と共同し、「京都のリハビリを考える会」も結成し、市リハセン附属病院の廃止撤回を求めて取り組みをすすめてきた。

 改正条例成立により、2015年3月末をもって、市リハセン附属病院は廃止される。医療専門職や患者の訴えに耳を貸さず条例改正案を議会提出した京都市当局、成立させた議会のあり方は、障害のある市民への背信行為に他ならず、その責任は重い。

 市リハセン附属病院廃止は手続き上決定事項とされてしまったが、そのもたらす弊害が露呈するのは今からである。第一に、今、市リハセン附属病院に入院・通院する患者さんたちの処遇が、人権を守る立場で行われるのか。また、市が16年に構想する市リハセン・こころの健康増進センター・児童福祉センターの合築(御前通松原・旧医師会館跡地に建設された「がくさい病院」に隣接する土地に予定)によって、市リハセン附属病院が入院・外来機能を失った形で、3障害を横断して公的な医療・福祉保障の拠点になれるのか。課題はいくらでもある。

 協会は、今後予想されるさまざまな弊害を見据え、必要な手立てを京都市に講じさせるよう引き続き要請活動を強める。

 第一歩として、協会は市会可決に抗議する声明を発表した。

 これまでの運動にご協力いただいた、多数の会員各位と賛同を寄せていただいた京都市内地区医師会長の先生方に、この場を借りて御礼申し上げるとともに、引き続く取り組みへの協力を切にお願いしたい。

2014年4月10日

声明 京都市身体障害者リハビリテーション附属病院廃止条例の市会可決に抗議
京都市の公的な医療保障の考えを根本から見直すことを求めます

京都府保険医協会 理事長 垣田さち子

 2014年3月17日、京都市会は京都市身体障害者リハビリテーションセンター附属病院(市リハセン附属病院)廃止する条例改正案を、与党会派(自民・民主都みらい・公明・京都)等の賛成で可決しました。

 当協会をはじめ、多くの人たちの反対の声、さらに京都市内の8地区医師会長の私たちの運動に対しての賛同を無視したかたちで、条例改正案を可決した市当局と、それに賛成した京都市会議員のみなさんに、強く抗議します。

 今回の「廃止条例」を可決させ、市リハセン附属病院を廃止することは外来通院する患者さん、入院中の患者さん一人一人の療養や生活に対して、京都市が公的な医療保障を提供する責任を果たしていないのではないでしょうか。

 私たちは、市リハセンがどれだけ身体に障害のある人たちの生命を守り、生活を支えてきたか。その存在がどんなに大きく、かけがえのないものであるかを、京都のリハビリを考える会と共に提言の発表をはじめ、客観的・科学的なデータを示し、市当局に訴えてきました。しかし、京都市当局は、これら客観的・科学的なデータ、患者さんの声、また私たち医療の専門職の訴えを突きつけられても、最後まで、一貫して根拠もなく「受け皿はある」「民間でもできる」と繰り返しました。このことに対して私たちは市民の健康と命を守る医療者として絶対に許すことはできません。

 京都市当局と「廃止条例」を賛成・可決したすべての市会議員のみなさんが、市リハセン附属病院廃止方針の過ちを認め、公的にリハビリテーション医療を保障する政策の必要性を再考し、附属病院廃止を中止することを求めます。そして、もう一度京都市のこれまで行ってきた公的な医療保障に対して根本的に考えをあらため、京都市民の健康、命を守る政策を進め、拡充していくことを強く求めます。

 私たちは今後も、京都のリハビリを考える会と共に活動を続け、さらに市当局の医療、福祉行政の動向を監視し、必要な要請活動を今後も継続していきます。以 上

※なお、協会ホームページの「京都のリハビリを考える会」関連資料集に、今日までの取り組みに関する総括文書を公開しています。ぜひご覧下さい。

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