医療経済実調、被災地に誤送付/「施設全壊、回答できない」  PDF

医療経済実調、被災地に誤送付/「施設全壊、回答できない」

 医療経済実態調査(実調)の調査業務を請け負っている、みずほ情報総研と印刷会社の研恒社が、誤って被災地の医療機関に調査票を送っていたことが明らかになった。6月9日午後、被災した宮城県の薬局から、みずほ情報総研の実調運営事務局に対して「災害で薬局が全壊しており、回答できない」との連絡が寄せられて判明した。厚生労働省は下請けの両社に対して、医療機関にお詫びし調査票の破棄依頼などの対応を取るよう指示。再発防止策も徹底するよう注意した。

 実調の実施をめぐっては、6月3日の中医協臨時総会で、被災地に配慮し▽損害保険全損区域▽郵便物等の配達困難地域▽原子力災害による避難区域─などを調査対象から外すことと、その他の被災地には事前に電話で協力要請した上で調査票を送ることを決めていた。こうした地域に誤配送したことから、中医協で問題視される可能性もある。

 実調の実務は、厚労省がみずほ情報総研に委託。みずほ情報総研が研恒社に調査票の印刷・発送業務を再委託していた。みずほ情報総研は5月31日時点で、研恒社に事前準備用の発送対象リストを渡していた。ただ、その時点では中医協で被災地への配慮策が正式決定していなかったため、研恒社は被災地分も含めて調査票を準備した。発送予定数は8874件。内訳は、無条件で発送する被災地以外の施設が8090件、被害が甚大なため発送除外する施設が99件、電話確認した上で発送する施設が685件だった。

 中医協は6月3日の臨時総会で正式に実調の実施を決めた。しかし研恒社はその時点で、本来発送しないはずの99件分についても封入作業を進めてしまった。

 発送開始日の6月7日に、依頼状の一部に不備が見つかり、発送業務をいったん待機することになった。その後、研恒社の営業担当者が同社の発送担当者に待機解除を伝えたが、発送担当者は「保管していた発送除外分も発送する」と受け取り、誤って被災地に送ってしまったという。みずほ情報総研と研恒社の営業担当者までは、被災地への配慮策が伝わっていたが、研恒社の営業担当者と発送担当者の間できちんと情報伝達ができていなかったもようだ。誤送付数は、発送除外分が49件、要電話確認分が365件。

 この事態を受け、厚労省は両社に対し、誤送付した医療機関にお詫びするよう指示。さらに発送除外地域の医療機関には調査票の破棄要請を、要電話確認地域の医療機関にはあらためて調査依頼するよう両社に求めた。まだ配達していない医療機関もあるため、みずほ情報総研が指示の確認を徹底した上で、研恒社が発送する。厚労省はみずほ情報総研に対し、実施体制の再確認と改善策の作成・提出も求めた。(6/13MEDIFAXより)

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