医療系サービス、低い利用傾向/厚労省・介護支給限度額調査  PDF

医療系サービス、低い利用傾向/厚労省・介護支給限度額調査

 厚生労働省は2月7日、社会保障審議会・介護給付費分科会に「区分支給限度基準額に関する調査」の結果を提示した。介護サービス利用量が支給限度額を超える利用者(超過者)の利用状況は、通所介護が53.9%で最も多く、訪問介護(48.5%)、短期入所サービス(33.8%)が続いた。医療系サービスで最も多かったのは通所リハビリテーションの18.8%で、訪問看護が8.9%、訪問リハビリは1.6%にとどまるなど、医療系サービス利用率が全体的に低かった。

 限度額7−9割程度の利用者を見ても、医療系サービスの利用量は全国平均と同程度だった。一方で、両者とも訪問介護や通所介護の利用量は全国平均よりも多かった。

 調査は、超過者と、限度額7−9割程度利用者を対象に、全保険者から要介護度別に1人分ずつ介護給付費明細書を収集・分析した。

●「意外な結果」宇都宮課長
 厚労省老健局老人保健課の宇都宮啓課長は調査結果に関する会見後、記者団に対し「限度額を超える場合の要因を調べる趣旨だったが、思わぬ結果が出た。(限度額に関して)直ちにどこをどう直すか、ということではなさそうだ」と述べた。訪問介護や通所介護など、見守りを必要とするサービスの利用率が高かったことについては「(見守りという要素だけ取り上げれば)介護保険の対象ではない。現在(介護予防・日常生活支援複合事業として)検討中の予防給付と見守り・配食サービスなどを包括的に提供するサービスを考える際の材料になる」との見方を示した。

 振興課の川又竹男課長はメディファクスの取材に対し「今回の調査は限度額の7−9割利用者、超過者の一部を対象にしたもの」と前置きした上で、「見方によっては面白い結果。ケアマネジメントの検証は介護保険部会の意見書にも指摘がある通り、中期的な視点で検証する。養成課程なども含めたケアマネジャーの資質に関する全体的な調査を行うことを検討している」と話した。調査を実施した場合の2012年度改定への影響については「反映できるようなデータがあれば検討材料の一つとして提示することは当然あり得る」と述べるにとどめた。

 調査では、超過者のケアプラン内容も分析。市町村のケアプラン点検者4人(看護師2人、社会福祉士1人、介護福祉士1人)が要介護1・3・5のプランの一部を評価した結果、「見直す余地がある」としたケアプランは9割に及んだ。厚労省は超過者のケアプラン例として、1週間毎日午前9時半から午後4時までの通所介護だけが組まれた要介護1のプランなどを示した。ケアプラン点検者からは「自立度を改善させるケアプランになっていない」「医療系サービスが少ない」などの声が寄せられたことも紹介した。

 厚労省によると、介護給付費実態調査を分析した最新のデータでは、超過者が全体の約3%、限度額7−9割利用者は約24%となっている。(2/8MEDIFAXより)

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