医療療養「現状を維持」が8割/厚労省の転換意向調査
厚生労働省は1月15日、療養病床を持つ医療機関に、ほかの施設への転換意向を聞いた「療養病床転換関係調査」の暫定集計結果を公表した。医療療養病床を持つ医療機関の8割以上が「現状維持」とした一方、介護療養病床を持つ医療機関の半数近くが「検討中」としていた。
●介護療養「検討中」が半数
調査は、日本慢性期医療協会(会長=武久洋三)が2009年度の厚生労働省老人保健健康増進等事業として実施。日慢協の会員施設829施設を対象に09年10月に調査を実施し、292施設(回収率35.2%)から回答を得た。
医療療養病床を持つ医療機関に転換の意向を聞いたところ「現状維持」が84.9%で最も多く、次いで「分からない、または検討中」が15.1%、「一般病床」3.6%、「その他の施設」1.4%、「介護療養型老人保健施設」0.9%などだった。
介護療養病床を持つ医療機関では「分からない、または検討中」が48.8%で最も大きい割合を占めた。次いで「医療療養病床」44.2%、「介護療養型老人保健施設」20.3%、「その他の施設」4.1%などだった。「病棟閉鎖」と答えた医療機関も、医療療養病床、介護療養病床それぞれ1施設ずつあった。
厚労省は今後、患者の状態像や提供している医療などについて、より詳細で正確な実態把握を実施する予定としている。
●「病院をやめること」への抵抗感も
厚労省は同日「療養病床から転換した老人保健施設等の実態調査」の結果も公表した。転換の際に懸念した事項を聞いたところ「病院をやめることへの抵抗感」が40.0%で最も多く、次いで「建物改修の必要」28.0%、「転換後の老健施設の経営のめどがたたない」20.0%などだった。
また、転換対象病床に入院していた患者の72.4%が、転換後の老人保健施設にそのまま入所していた。
転換を予定している医療機関に転換の懸念事項を聞いたところ「転換後の老健施設の経営のめどがたたない」が27.7%で最も多く、そのほかに「病院をやめることへの抵抗感」23.4%、「地域で療養病床が必要とされていたため、転換が困難」21.3%などだった。
調査は、医療経済研究・社会保険福祉協会医療経済研究機構が09年度の厚労省補助金事業として実施。療養病床から老健へ転換済みの68施設に調査を実施し、25施設から回答(回収率37%)を得た。また、療養病床から老健への転換を予定している90施設に調査を実施し、47施設(52%)から回答を得た。(1/18MEDIFAXより)