医療法人講習会開く  PDF

医療法人講習会開く

目先の節税効果に捉われず事業継承までの長期スパンで判断を

 協会はひろせ税理士法人の花山和士税理士を講師に、医療法人講習会を3月31日に開催。本講習会は、2年に1回開催しており、医療法人化のタイミングおよびメリット・デメリットを中心に説明を行った。

将来見越して法人化を

 医療法人化の動機としては、第一に、所得税や相続税の節税対策。第二に、事業継承。第三に、2カ所開設や介護の付帯事業の必要性、患者への信頼増幅など経営的理由が上げられる。

 医療法人化のタイミングとしては、医業収益の課税所得が3000万円以上になれば節税効果と厚生年金保険料の負担が同額ぐらいになりメリットが出てくるが、院長の個人的支出が膨らむ教育資金や住宅購入資金が必要な時期に法人化すると、個人の資金繰りが苦しくなる可能性もある。医療法人化にあたっては、目先の節税効果だけに捉われることなく、院長の年齢も考慮し、事業継承までの長期スパンで将来を見越した判断が必要である。

法人化のメリットとデメリット

 法人化のメリットは主に、所得税(個人住民税含め最高55%)と法人税(実効税率約30〜35%)の税率差による節税効果、概算経費率の活用(措置法26条・67条の適用)、自由診療収入に対する消費税の節税、理事長個人・配偶者・親族への役員報酬の支給、法人の内部留保(法人の財布)は相続税の対象外(基金部分を除く)であることなど。

 一方、デメリットは、基金拠出型医療法人の場合は、解散時の残余財産は国や地方公共団体等に帰属することになるので、事業継承予定がない場合は、将来の役員退職金の支給範囲内に利益積立金を抑える必要があること。また、特定同族会社事業用宅地等の小規模宅地の特例適用がなく、内部留保が大きくなり過ぎると法人税計算上、交際費が課税されること。持分あり医療法人含め、個人で自由に使える資金が少なくなる、税務調査の対象となりやすい、一定の情報開示が行われることなどが挙げられる。

設立時の注意点

 医療法人設立までのスケジュールは、京都では年4回、1月・4月・7月・10月の設立となり、ヒアリングは2回、院長の同行は必要ない。確認すべき手続き事項は、テナントの賃貸借契約、リース契約、レントゲン・麻薬施用者免許の有無、結核・労災・特定疾患等の指定、施設基準の届出など。法人名称や理事・監事、決算月は、最初に決定する。また、個人名義の銀行借入金を医療法人へ引き継ぐ場合は、京都府の認可が必要となる。さらに、個人事業の用に供していた医薬品、器具および備品、建物の附属設備などの財産を基金として拠出する場合は、課税資産の譲渡等に該当するため、消費税の取扱いについても注意を促した。

 その他、相続の際に持分放棄すれば納税猶予・免除が受けられる「認定医療法人制度」や、医療法人の運営として、毎期決算後の事業報告、内部留保の考え方、基金拠出型医療法人の「資本金」「基金の返還」について解説。医療法人の解散認可手続き・個人事業化、役員退職給与の適正額の算定法、持分なし医療法人への移行の留意点にも触れ、幅広い内容で説明を行った。講習会終了後は、参加者からの質問に対応した。

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