医療法人の法人税3%引き下げ/税制改正大綱が閣議決定
政府は12月16日、医療機関に対する事業税の非課税措置を2011年度も存続させることなどを盛り込んだ「11年度税制改正大綱」を閣議決定した。法人実効税率を5%引き下げることに伴い、医療法人の法人税率も一律3%引き下げることが決まった。厚生労働省が要望していた2年連続のたばこ税の増税は見送った。
地方税の事業税については▽医療機関(個人・医療法人)が社会保険診療報酬で得た所得に都道府県が課税する事業税の非課税措置▽社会保険診療報酬を除いた医療法人の所得(自由診療や病院の売店での収益など)にかかる事業税の税率を軽減する措置―の2つ。日本医師会は非課税の存続を要望し、全国知事会は廃止を求めていた。
所管する厚生労働省と総務省が09年、折衝したが折り合わず、10年も両省が話し合ったが妥協点は見つからなかった。このため大綱では2つの措置は存続とした上で、2年連続で「11年1年間真摯に議論し結論を得る」との表現となり、11年度に再び話し合うことになった。
国税の法人税率の引き下げはデフレ脱却と雇用促進のために実施する。医療法人の法人税率も一律3%の引き下げが決まり、適用は11年4月1日からとなる。
たばこ税は健康の観点から将来的な税率の引き上げは認めつつも、11年度の増税は見送った。10年10月から1本当たり3.5円の税率引き上げを行っており、大綱では「たばこの消費や税収など十分に見極めた上で判断する」とした。
また、医療機器の特別償却制度は、対象機器の範囲を狭めることなどを条件に適用期限を2年延長した。
消費税については、社会保障制度の抜本改革の検討などと併せて具体的内容について政府税制調査会で早急に検討を行っていくとした。
社会保障・税の共通番号は政府が11年の秋以降に法案を提出する方針だ。大綱では「この方針に即し早期の制度導入に向け、実務検討会を中心に速やかに検討を進める」とした。
厚労省が要望していた▽療養病床の転換にかかる特別償却制度(法人税)の延長▽社会保険診療報酬にかかる消費税の在り方の検討(消費税)▽医療法人の理事長が亡くなった場合にも地域医療が継続できるよう相続税の特例措置(相続税・贈与税)を創設すること―などは認められなかった。(12/17MEDIFAXより)