医療機関群「医師密度の高い病院」など3分類/DPC分科会
中医協のDPC評価分科会(分科会長=小山信彌・東邦大医療センター大森病院心臓血管外科部長)は8月1日、次期診療報酬改定でDPC/PDPSの制度設計のカギとなる基礎係数について医療機関群設定の基本的方針を固めた。これまでの議論で了承された「大学病院本院群」に加え、この日の議論で「大学病院本院以外の医師密度の高い病院群」「その他」の3群に機能類系する提案をまとめた。今後の中医協総会に提案する予定だ。
「大学病院本院以外の医師密度の高い病院群」の評価指標について厚生労働省は、医師密度・診療密度が「大学病院本院相当」であるほか、「一定の機能・実績を有する」ことを要件として求めたいとしてる。具体的には▽一定以上の医師研修の実績▽一定以上の高度な医療技術の実施▽一定以上の重症患者に対する診療の実施―を掲げ、今後、具体的な基準について検討を進めたいとしている。ただ、今後の議論次第では、「大学病院本院群」「大学病院本院以外の医師密度の高い病院群」を1つの医療機関群としてまとめる可能性もあるとしている。
●医師密度・診療密度・手術難易度に相関
医療機関群の評価指標である医師密度(DPC算定病床1床当たりの医師数)については、これまでの議論で、医師密度が高いほど診療密度(1日当たり包括範囲出来高点数)が高いことが分かっている。この日の分科会で厚労省は▽医師密度が高い施設ほど「外保連手術試案」の手術難易度が高い術式を行っている▽手術難易度が高い術式を行っている施設ほど診療密度が高い─ことなどを報告した。
議論では三上裕司委員(日本医師会常任理事)が「手術難易度と医師密度に相関性があるのは理解できたが、(だからと言って)診療密度が高い施設をグルーピングするのはいいのか」と疑義を投げ掛けた。医師密度を高めるには一定の医師数の確保が求められることから、酒巻哲夫委員(群馬大医療情報部教授)は「免許取得5年後以上の医師の争奪戦になることがないよう配慮すべきだ」と指摘した。他の委員からも医師密度が前提になることを懸念する意見などが出た。
こうした意見に対して厚労省保険局医療課の迫井正深企画官は、この日の事務局提案について「前回の議論で出た医師の配置だけで評価するのはおかしいとする意見なども真摯に受け止めた上での提案」と位置付け、「この議論は、基礎係数について施設ごとの個別設定は行わず、グルーピングするという認識から始まっている。(係数化すべきとの意見もあるが)これまでの検討から、基本的な診療特性を全て係数化することは難しいという結論が得られており、医師の配置に加えて研修機能や高度医療の実施など複数の実績を要件として提示した」と説明した。小山分科会長は、医療機関群を3分類とすることについて中医協総会に提案し、了承が得られれば、さらに、議論を深めることを提案する、としてこの日の議論を取りまとめた。(8/2MEDIFAXより)