医療機関の消費税対策「強力に要望」/日医の税制改正要望
日本医師会は2012年度の税制改正要望を取りまとめた。25項目のうち、消費税対策や診療報酬に対する事業税非課税の存続など13項目を重点項目とした。24日の定例会見で要望を説明した今村聡常任理事は消費税対策は引き上げの議論を考慮し、「強力に要望していく必要がある」と強調した。11年度の税制改正大綱で「1年間議論し、結論を得る」とされた事業税非課税の存続は「これから年末にかけて議論が進んでいく。正念場だ」と述べた。
要望では、医療機関が医薬品や医療材料などを仕入れる際に負担している控除対象外消費税について、仕入税額控除が可能な課税制度に改め、患者負担を増やさない制度に改善することを求めた。今村常任理事は「具体的にはゼロ税率や給付付き税額控除になるかと思うが、最終的には政府に決めていただきたい」とした。要望した課税制度に改めるまでの緊急措置として、設備投資に関する仕入税額控除の特例措置創設も求めた。
診療報酬に対する事業税非課税の存続と医療法人の事業税の軽減税率存続については11年度に全国知事会が廃止を求めていた。今村常任理事は「知事としては県の地域医療確保は大きな課題。民間の医療機関が課税されることによって継続が困難な状況が生じることは知事にとっても困ること。都道府県医師会に要望、説明してほしいとお願いしている」とした。
新たに盛り込んだ要望では、「地域枠」での医学生修学金などの返還免除について、給与所得として課税されている現状があるとし、課税されないよう必要な措置を講ずることを求めた。
震災関連では、医療機関が取得した耐震構造建物、防災構造施設・設備などに関わる税制上の特例措置創設を提言した。
ほかに▽医業承継時の相続税・贈与税制度の改善▽がん検診・予防接種への医療費控除適用▽たばこ税率の引き上げ▽特定医療法人、社会医療法人などへの寄付者に対する税制措置▽中小企業投資促進税制の適用期限延長と拡充▽診療報酬の所得計算の特例措置(いわゆる四段階制)の存続▽人材投資促進税制の適用期限延長と適用対象者拡大▽公益法人制度改革に伴う税制措置―を重点項目に挙げた。
●12年度要望でも四病協と連携
11年度の税制改正要望では、日医と四病院団体協議会(四病協)の連名の要望を初めて取りまとめた。今村常任理事は12年度の要望についても四病協と連携する方針を示した。(8/25MEDIFAXより)