医療安全調法案「臨時国会に出したい」/遺族要望に舛添厚労相
舛添要一厚生労働相は8月27日、福島県立大野病院事件で死亡した女性の実父・渡辺好男氏ら医療事故被害者の遺族らと会談した。厚労省が示している「医療安全調査委員会設置法案(仮称) 大綱案」に基づく死因究明制度の早期国会審議開始を求めた遺族側に対し、「次期臨時国会に(法案を) 出したいと思っている」と述べ、早期の法制化に前向きな姿勢を示した。
また、大野病院事件の経緯にも触れながら「最大の問題は提供側と受ける患者側の信頼関係をどう構築するかだ」とも述べ、勤務医の労働環境をはじめとする医療提供体制の改善にも力を注ぐ考えを示した。会談後、渡辺氏は「良い制度を考えてくれるということなので、良かったと思う」と話した。
この日は、6つの医療事故被害者団体でつくる「患者の視点から医療安全を考える連絡協議会準備会」が、調査委の早期設立に向け次期臨時国会での具体的審議開始を求める要望書を舛添厚労相に提出した。
要望書では、死因究明制度創設に向けて厚労省が示した第3次試案について「患者の立場を大幅に譲ったもの。これ以上譲ることは、中立公正な医療事故調査機関の設立の意義を失う」と主張。
大野病院事件をめぐる捜査や裁判にも触れ「死亡原因などの真実が知りたいと願っていた遺族の十分な納得を得るものとはならなかった。報告制度と事故調査制度があれば、事態は回避できたはず」と訴えている。(8/28MEDIFAXより)