医療安全対策の常識と工夫55  PDF

医療安全対策の常識と工夫55

患者さんは事実や理屈のみで納得はしません!

 このシリーズを通して、患者さん側には医学的説明が必要不可欠だということを強調してきました。その一方で、医事紛争は人間関係の縺れで、医学的な事柄に終始できない場合があることもお伝えしました。今回は少し医学的なものから離れて、医療機関側の態度として何に注意すればよいか、京都府保険医協会の患者さん対応の経験から幾つか挙げてみたいと思います。

1. 患者さん側の話を優先

 患者さん側は、話したいことや確かめたいことがいっぱいでやって来ます。仮に患者さんが不合理なことや矛盾したことを喋ったとしても、取り敢えず聞きおいて下さい。途中で口を挟めば言い訳をしている、この医者は話を聞く態度ができていないなどと誤解されることもあるでしょう。一通り話が終わってから、正すところを正せばよいと思われます。

2. 話し合いは1回につき2時間程度を目処

 2時間以上話し込んでも、繰り返しや押し問答が続くばかりで、話は一向に前に進まないことがほとんどではないでしょうか。こんな話し合いは一度だけで十分だと思われることは想像に難くないのですが、長引く気配がした場合には、日を変えた方が気分も改まり、結局はより好ましい方向に進むと思われますが如何でしょうか? その際の注意点としては、2回目の話し合いの前に、最初に話し合った論点を医療機関側と患者さん側でまとめておくことです。言い換えればテーマを絞って話し合いの再開ということになります。感情論と事実確認を混在させない、患者さんの要求をより具体化させて、それに対応できるか否か、準備しておくことです。それで話し合いを再開させて結果的に平行線を辿るようでしたら、次のステップに踏み込む必要も出てくるでしょう。その際にはぜひ、遠慮なさらず協会までご連絡下さい。

 次回も、引き続き具体的な患者さん対応法についてお話しします。

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