医療安全対策の常識と工夫(48)  PDF

医療安全対策の常識と工夫(48)

医療安全対策の実践(3)「医療安全担当者(リスクマネジャー)」

 インシデント・レポートや研修会が充実しても、それだけでは「予防」できたという結果にはなかなか結びつき難いこともあろうかと思います。やはり医療安全における情報を集約・分析する専任の医療安全担当者(リスクマネジャー)が必要になるでしょう。

 通常の病院において、医療安全を担当する事務部門は医事管理課や総務課・庶務課といったところのようですが、そうした部門は他にもかなりの仕事を日常に抱えています。医療安全の仕事は本来、ついでの仕事でできるものではないのですが、時間をやりくりして医事紛争に対処しているのが現状ではないでしょうか。ましてや「予防」までは、なかなか手が回らないのも頷けます。

 21世紀に入って医療法の改正もあり、多くの医療機関が「医療安全」の発想の下でのシステムを構築している様子が窺われるようになりました。しかしながら、実際の現場ではなかなか思うように機能していない側面もあるようです。これは医事紛争が定期的かつ頻繁には発生しないことが、その大きな要因となっていると推測されます。「医療安全対策室」といった専門部署を設置するほどの余裕が院内になく、ある程度の兼業はやむを得ないとしても、事務部門における医療安全担当者の養成は医療機関にとって一層必要になってくることは必至でしょう。

 以上は敢えて事務部門に焦点を当ててお話ししましたが、医療安全対策は何といっても医療・医学的な知識や判断が必要です。つまり医師抜きでは話は一向に進まないということです。管理者もしくは責任者の医師・看護師等も医療安全担当者としての素養が要求されるでしょう。重要なことは、医療従事者と事務部門が十分なコミュニケーションを取り、協力して医療安全対策を講じるという姿勢だと思います。

 次回は、見過ごされがちな医療安全対策の2大要素についてお話しします。

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