医療安全対策の常識と工夫(44)
再度ご確認!(1)診断(2)適応(3)手技(4)説明(5)事後処置
(1)診断(2)適応(3)手技(4)説明(5)事後処置―の5項目は一応の目安に過ぎず、これらに問題がなければ、どんな場合でも医療機関が賠償責任を免れるという訳ではありません。それが医事紛争の紛争たるゆえんとでも言いましょうか、それほど発生メカニズムが単純でないことの表れでしょう。
しかしながら、チェックすべき点をチェックするとしないとでは、次のステップに大きな開きが生じることもまた事実です。これらが整理されていると、万一の場合に患者さん側への事後の説明も、よりスムーズとなるでしょう。患者さん側が一方的に誤解をしていた場合にはなおさらです。結局のところ、それが紛争対応のみならず予防へ繋がると京都府保険医協会も考えています。是非とも上記5項目の(1)診断、(2)適応、(3)手技、(4)説明、(5)事後処置、は常に頭に入れて日常診療に務めていただきたいものです。
さて、以上お話ししたことは、主に医師のチェック項目です。個人診療所ならばやむを得ない場合もあるかと思われますが、病院等、複数の医師が在籍する医療機関であれば、他の医師にセカンド・オピニオンとして意見を求めるのも有効でしょう。自分の医療行為を他者にチェックされるのは気が進まない、と仰る医師もいることは十分承知していますが、何度も言っているように医事紛争は初動が一つのポイントです。セカンド・オピニオンも、その初動に含まれると捉えることができるでしょう。もちろん、やむを得ない事情がある場合は、文献等の検索でも構いません。要するに、より客観性を持たせた意見や主張が、説明をする際に患者さん側をはじめ、第三者に対しても説得力が増すということです。
次回は、組織的な医療安全体制についてお話しします。